魔斬りの家光  十九島信

文字数 1,675文字

悪斬る!魔斬る!江戸を斬る!!


時は寛永、江戸の世に…人呼んで”あばずれん坊将軍”見参!


「音頃さん」作者が描く異端時代劇、開幕!!


(「裏サンデー」より引用)

https://urasunday.com/title/1593

スティグマって、何? 水戸黄門さまもびっくりだよ!
スティグマ(ギリシア語)は、もともとは牛や奴隷に焼きつけられた刻印のことを指すそうだ。
昨今は「社会的スティグマ」なんて言葉もあるらしいね。

詳しくは調べてもらえばいいとして、広く「差別、偏見」の意味をもっているのがその言葉だね。

でも、この漫画ではキリスト教の「聖痕(スティグマータ:ラテン語)」のことを指しているんだろう。

「聖痕」はイエスが磔刑にされた時に付いたとされる傷が、外的要因無しに信者たちの間に現れる現象でしょ?
うん。釘を打たれた両手足、十字を背負った背中、茨の冠をかぶった額、あたりに出るのが多いらしい。
……と、思えば思うほどに、何か、違うんだよね。
まあ確かに、この漫画の使い方だと水戸のご隠居がお付きのものに持たせているアレに近い、のかも。ははー!(土下座) とはならないけど、葵の御紋を見れば結果的に悪魔が正体を現すわけで。

よく考えたよなあと思う。

その発想には恐れ入った。話を信長に繋げるあたりが巧いと思う。
織田信長とキリスト教の話は教科書にも載っているしね。
でも、詳しいことを調べれば調べるほどに、信長を悪魔に結びつけたのはニュアンスでしかないとわかっちゃうんだけどな?(笑)
ああ、どちらかというとキリスト教を保護したのが信長で、弾圧したのが家康、だったっけ?
そんな信長はキリスト教には改宗しなかったし、家康も当初はキリスト教に寛容だった。保護するも、容認するも、弾圧するも、単に政治的な理由でしかない。
……政治が絡むと風向きが変わる。
果たして政治が宗教を利用しているのか、宗教が政治を動かすのか。
政教分離なんて言葉を聞いて久しいと思うけど、世界は今でも宗教=政治なんだな、と、思うことが多い。
今はアフガン情勢が熱いわなあ……。
ねえ、あれはなんで、同じムハンマドの教えを信仰しているのに揉めるわけ?
それを言い出すと、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も神様は同じなんだけど?
神様……「こんなはずじゃなかったのに!」って、天国で嘆いていそう。
うーんそれはどうかなあ。我らの神はあまりの高みにおわすゆえに、下界の人間たちが相争っている姿は何一つ見えない、と、言う人もいるからね。
え? どういうこと?
ミクロで紛争が絶えずとも、マクロ的にはこの世は平和そのもの、ってことだよ。
むー。納得いかない。
納得いかないことが多いのがこの世の中だよね……。
……って? あれ? 話が脱線してる?
うわあ、久しぶりに脱線したね。
ここ最近は真面目に感想だけを話題にしてきたのにねえ。
そんなわけで本作は、江戸の街にあふれる悪魔(でーもん)を三代将軍とその弟・幸松が力を合わせて退治する物語。
幸松(のちの保科正之)って、いわゆる将軍様の「ご落胤」なんだよね?
……のわりに、兄の家光からめっちゃ大事にされたのがこの幸松という男。
漫画の中でも大事にされてるね。

想像するに家光は忠長との仲が拗れてたから、異母弟とはいえ幸松のことが光り輝いて見えたんじゃないのかな。

実際、保科正之は相当な賢君だったらしいし、弁えるところ弁えて家光の機嫌を損ねるような真似はしなかったんだよ、きっと。

なるほどねえ。
漫画の方では白い書を持つ家光と、黒い書を持つ忠長という構図になっていて、その点も興味深い。欲を言うならもっと掘り下げて、とは思うものの。
ラストで尻すぼみ感が出て、ちょっと残念。
信長を出してからのあの呆気なさはぼくもアカンと思うんだけど、前に読んだ『放課後の異端者(グノーシス)』がやはり同様の終わり方をしたので、これはこの作者の特徴なんだな、と思うことにした。
そういえばこの作者、最新作では自分で描かず原作者になってるね。
最近そういうの流行ってきたの? 『1000円ヒーロー』の作者も原作者で連載始めたんだけど。
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