虐殺ハッピーエンド 原作/宮月新 作画/向浦宏和
文字数 1,849文字
高校生・草壁真琴は、重病の妹の治療費を稼ぐため、バイト漬けの日々を過ごしていた。働かない父親、子供を置いて逃げた母親、バイト先でのイジメ…そんな状況にもめげず、妹を救うべく生きてきた。しかし、無情にも妹の余命が短いと告げられ、絶望した真琴は…命の重さを問う、最凶パニックサスペンス!
(「マンガParkより」より引用)
うん。自殺催眠が生まれるきっかけとなった『シグナル100 零』については、感覚的に読むのは危険だと回避したのだけど。
作品1つで宮月新を「無理!」と判断するのは早いかなと思ったんだ。
これはね、面白かった。『シグナル100』よりもこっちのほうが断然面白いのではないかと思う。
働かない父親と、自分たちを置いて家を出た母親、重篤な状態で入院中の妹(詩織)という家庭環境の中、妹の病院代を稼ぐために懸命なバイト三昧。
そんなわけだから、ある日、とある神社の前で彼は叫んでしまう。
……結果、その通りになってしまうんだ。神様ってとても残酷。
1日を繰り返している(その度に自分と妹だけが1日歳を重ねている)と気付いてからの主人公の絶望たるや、のありさまだったね。
……というわけで、表題に示す通りに虐殺を繰り返しながら詩織がドナー提供を受ける日(ハッピーエンド)を目指す物語が始まるというわけだ。
精神的に追い込まれていく主人公の変化、刑事とのスリリングな心理戦も見逃せないポイント。
『シグナル100』が予定調和のように生徒たちが与えられた
「そう来たか!」
「えげつないな!」
と、思いながらもついつい読み進めてしまう。
キレイゴトと、そんなことを言っていられる状況ではない現状──読みながら考えてしまう部分も多かった。
なかったね……。
唯一の味方だった弥生を死なせてしまったあたりで、結末にも慈悲がないんじゃないのかなとは思っていたが。
でもあのラストが暗示するのは、要するに、そういうことなんだろ?
……と思ったので、同時期に並行していて読んでいた『償い魔法少女カレンザ』を読む手を、ぼくは止めてしまった。
そうだとしても、もう気付くことはない。
ところでこの物語、人を殺さずループし続けたとしたらどうなったんだろうね。
やはりそうなるのかな。
イサクの燔祭みたいな?
確かにそうか。
神社での発言には注意した方がよさそうだね……。