死ねばいいのに 京極夏彦
文字数 1,545文字
鹿島亜佐美のことを教えてほしい、と、彼女の関係者のもとを訪ねて回る渡来健也。彼の目に人々は……?
嫌味!
どうしてだろうか? 自分でも意味がわからない。
先日もこの年になってようやく『星の王子様』を読んだばかり。
みんなが読んでてみんなが絶賛する作品は、別に自分が知らなくても「知った気になる」不思議。
それはまた違うんだよ。WEB小説の……異世界(VRMMO)に行って(転生して)チートスキルで無双してヒャッハーでハーレムなスローライフとか、悪役令嬢ですけど頑張ります、とか、そういうのばっかり流行りすぎで目立ちすぎてて、WEB小説の世界に足を踏み入れた最初の頃は読んでみたんだけど、これがびっくりするくらい「同じ」で、まあ、飽きちゃったんだって。
なんだろうね、日本人は、ほら、「ハンコ」が好きだもんね?(遠い目)
括弧書きが不穏すぎて要らぬ誤解を招きそうにも思うのだけど、だからそれは、アレだってば。
みんなが読んでてみんなが絶賛する作品は、別に自分が知らなくても「知った気に」なれるから、なんかそれで充分満足なんだよ。
なんか馬鹿にされたような気がするけど、うん、お恥ずかしながらその通り。
バラさないで!
フォローになってな~い!(汗)
一人目、二人目……と、渡来健也が順に鹿島亜佐美の関係者を回って話を聞いていくストーリーなのだが、ぼく的にはこの「一人目」がかなり厳しい。
会話が成立していない。このちぐはぐな感じ、不愉快な不協和音が鳴り響いている感じが、とにかくイライラする。
一人目が、人間的に大嫌い!
生理的に無理!
まさにその通り。
「こいつ結局、自分で何もしてないじゃん」と思いながらイライラと読んでいたら、後半になって渡来健也がバッサバッサ斬ったんだよね。爽快なほどバッサリと。
見事などんでん返しだった。続く二人目、三人目も同じように斬り捨てる。
そして、立ち去る。
あとには不思議な「希望」が残されたとさ。
持つ!
しかも、この言葉が最後の一人で大化けするので、その辺りは期待して読んでもらいたい部分。
ぼくはこれ、二人目を読んだ時点で宮部みゆきの『長い長い殺人』を連想したので、実を言うと構成がわかってしまったんだ。最後の一人はそういう話になるのだな、と。
でも、これは犯人捜しをする作品ではないので、読者は純粋に人の持つ「不満」の形と「身勝手さ」にイラっとし、渡来健也の的確なツッコミと斬り捨てにスッキリとすればいいと思う。
正直、鹿島亜佐美……彼女は人間じゃない。(断言)
人間じゃなかったからこそ、彼女を取りまいた人々の人間臭さが際立つし、リアルに映る。
馬鹿を装った天才? これまたちょっと人間からはかけ離れているとは思うが、そうでないとこの物語は成立しないよ。これでいい。
一人目を必ず乗り切れ! そうすれば希望が見えてくる。
そして、物事の多面的側面を十二分に楽しんでほしい。