陽炎ノ辻 居眠り磐音江戸双紙 1  佐伯泰英

文字数 1,974文字

脱藩後、とある両替商の用心棒を始めた坂崎磐音。

なにやら陰謀の予感……。

この本、誰かの紹介だったよね?
紹介だった。ここでお名前を出していいのかわからないので控えるけど。ただ……。
ただ?
紹介いただいてから随分な日を置いて入手したもんだから、はたしてこの本だったか自信がない。
……は?
すまぬ……。
紹介してもらうにしたって、何かきっかけがあったんでしょうよ?


時代劇で面白いやつ、とか?

う……うーむ……。
わーやだ、圭さんサイテー!
面目ない。


……あ、でも、その会話の前後で多産型作家の話をした。気がする。


赤川次郎は共同ペンネームで、実は中に人が10人くらいいるんじゃないのとか、そんな会話。

じゃあ、佐伯泰英も多産型作家だって、言うの?
う……うーむ……。
圭さん、マジサイテー!
重ね重ね、申し訳ない……。
まあ、気を取り直して。これは、剣の達人・坂崎磐音を主人公とした江戸草子。ドラマに映画にとなっているんじゃないかな?
それも紹介してくれた方から聞いてはいたものの、ピンと来なくてさ。


ググったら山本耕史の写真が出てきて、知ってるかもしれない、となった。もちろん観ちゃいないんだが。

ぼくは知ってるよ。映像を5分と観れない圭さんの集中力の無さ。
言い訳するけどさ、小説は自分の好きな時間で、自分の呼吸で読むことができるじゃない?

寝っ転がりながらも読めるし、たった1行だけでも読める。

読み始めも読み終わらせるタイミングも、読むスピードだって自分の都合でいい。

ヘタすりゃ読み飛ばすのも自由だし、読み戻るのも簡単なのが小説ってやつだよ。

(ただし、電子書籍ではこのあたりの良さの一部が死につつあるけどね)


それに比べて、映像はそうはいかないから基本的に嫌いなんだ。

作成者の作った間合いで、役者の喋るスピードで、始まる時間も終わる時間も強制的に鑑賞者の方が合わせないといけない。本のように隙間で楽しむ、ということはできないんだよね。

それに、間合いが自分の呼吸と合わないと観ていて疲れるんだ、基本的に。

絵が動く、音がある、という付加情報を付ける代わりに同じ時間で得ることのできる言葉としての情報は格段に落ちるのも映像の欠点だよね?

でも、文字しかないと頭の中でイメージを作らないといけないよ? 映像はそれがすでに外部で作り込まれているから、楽じゃない?
文字しかないから、想像するのが楽しいんでしょ?


映像になった時に、「このビジュアル違う! この声違う!」となるのも、自分の中に理想の世界を作り上げることができるからこそ、なんだよ?


ってか、脱線したから元に戻っていい?

ごめんごめん。


この本では、初っ端から不穏なことが起きたね。

そうなんだよ。前途洋々と帰郷した若者たちが、まさかの事態。
でも、ぼくはこれちょっと納得いってない。
人間ってこんなに浅はかだっけ、なアルアルの部分だよね。

現実に人間は思う以上に論理的でも理知的でもなく、むしろ驚きあきれるほどに浅はかであるということはこのコロナ騒動を見ていても自明の通りなわけだけど、坂崎磐音の友人たちがソッチ側の行動を取るかどうかはなんというか、もう少し何かがあっても良かったかな、とは感じる。


でも、このエピソードがないと磐音が江戸に流れ着いて貧乏長屋暮らしを始めない、よ?

確かに、そうか。
背景は、田沼意次の時代だったね。
時代物では「悪人」で描かれがちの田沼意次だけど、今回の物語ではどちらかというと味方側、なんだろうか。
2、3、とシリーズを読み進めていくと明らかになる気がする。今回は雲の上感があって、登場はするけど主人公とは実際の絡みはなかったから。
「お金」の話は、難しかった。
そんなことを言い出したら、『万波を翔る』で死んじゃうよ?(笑)
あれは、日本経済新聞社から出ているだけあってアレがすごくて、アレだったな……。
「アレ」で会話しない!(笑)


この本も『万波を翔る』も、交換レートで頭悩ませるところが似ていて面白いと思うな。

レートのカラクリがよくわかんなくても十分読めるけどね。
そうそう、ミステリー小説のトリックがよくわかんなくてもその作品が楽しめるのと一緒だね。


凄い剣客がいて、お上と結託した悪者がいて、痛快に成敗していければこの手の時代物は基本楽しめる。

坂崎磐音は、強い!
強い上に頭も冴えてる!
シリーズ読破したくなるね!
含みもかなり持たせているしね。今後の展開が気になってきた。


磐音はおこんと結婚するのかな?

身分的に無理じゃ……ない? 奈緒という許嫁もいることだし。
いや。


予想だけど、この展開だと奈緒はどっかの女郎屋にいるんだと思ってる。行方が分からないなんてそんな理由だと思うんだよね。


……ああ、もしやそれを身請けする話になる……のか?

どっちにしても今の貧乏暮らしじゃ前途多難……。
前途洋々と帰郷したはずの若者だったのに、哀れ……(笑)
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