湿 舌 海善紙葉
文字数 381文字
8千字じゃもったいないくらい、濃度が高い
ぎゅっと濃縮されてエッセンスになった8千字。無駄のない展開に加えて、言葉や文章の選び方。作り手の確かな才能が滲みだしていると感じます。正直、8千字ではもったいないくらいです。この設定を随所に散りばめて本1冊分くらいの作品に仕上げても充分にこの作品の価値は損なわれないのではないかと思いました。
ともかくにも、ラストの電話のシーンに胸が熱くなります。
親子だからこそ素直になれない、そんないじらしさがジンジンしていました。どんな形であれ、少しずつ離れていた歳月と離れてしまった距離を縮めていってほしいと願わずにはいられない、そしてきっと最後はそうなるであろうと希望の灯るようなラストでした。
素敵な作品でした。