みそかに降る雪 山田沙夜
文字数 418文字
ラストの「誰も知らない。」がとんでもないインパクトです。
そこまでは、住み慣れた場所を離れる寂寥感とか、失われつつある「古いもの」に対する哀愁、そして来たるべき「死」およびその瞬間の「不思議」のようなものが淡々と描かれてきたのに、最後の最後で余韻を突き放すように「誰も知らない。」がポンと飛び出すという……。
何かがひっくり返されたような驚き!
勢立て直しの暇なくささっと幕が下りてしまう驚愕のツレナサ!
観客は今、緞帳の前でポカンと口を開けておりますぞ!(笑)
しかしこの「誰も知らない。」が末尾にあることで、この話を上から読んで読者が自然と想像する過去……とはまったく違う何かが木下さんと須江さんとの間には本当はあったのではないかと妄想してしまうんだから、すごい。
たった一行、されど一行。
好きです!