MORNING GIRL  鯨統一郎

文字数 1,378文字

スペースアイランド“飛翔”で暮らす人々の睡眠時間が日ごとに短くなっている。

それは地球の人間たちも同じだった。


なぜ、人類の睡眠時間は短くなっていくのか。睡眠とは何か?


かくして原因を究明すべく研究チームが組まれたが……。

パラっと開いてすぐにさっと閉じて本棚に戻した圭さんの後ろ姿を、ぼくはしばらく忘れないよ。
いやだって、これ無理だと思ったんだもん。
確かに、なかなかお目にかからない書き方はしているよね。
まったく存在し無いわけじゃないけど、こういうやつはもしかしたら苦手かな、なんて、思ったんだ。読んじゃえば全然心配するほどじゃなかった。


食わず嫌いってやつだねえ。

かなり軽快なテンポで進んでいくよね。読みやすい本だと思うよ。
ここのチャットノベルで連載しても映える作品だよね。ほぼ全部が、会話。
だから戯曲かと思ったんでしょ?
戯曲は過去に『ファウスト』で痛い目にあってるからさー……(棒読み)
ああ、まさにデウス・エクス・マキナなんだよねあれ。
あ、うちの『DEUS EX MACHINA』を先日更新したばかりなんだけど読んでくれた?
は? 宣伝? なんで?
えぇぇぇ? これ、どうぞ宣伝しての前フリだったんじゃ……?
まさか、そんなわけないじゃん。
・・・・・・。
でもなんで、棚に戻して立ち去りかけて、結局戻ってきたの?
理由はやっぱり、タイトルかな。


『MORNING GIRL』……気になるでしょ? どんな話よ、ってなったんだよね。


それに表紙も可愛いし。

圭さんが手に取ったのは原書房から出ているものだね。同じ作品が講談社文庫からも出てるけど、表紙はまるっきり雰囲気が違う。
天下の講談社に対してここNOVEL DAYSでこんなことを言うのもなんだけど、講談社文庫の表紙だったらたぶん回れ右してそのまま「サヨ、ナラ?」だった気がするよ……。
ん? 『コン・エアー』のサイラスの真似した?
えぇぇぇ? わかったぁ???
わー、喜んでるし。
たまにはいーじゃーん!
……ま、いっか。


さてさて中身の方だけど。

これは驚きの速さで人類の睡眠時間が減っていく話だよ!

だいたい1日に1分ずつ減っていくんだよね。


その原因を究明するために組成されたチームはまるで成果を出せない。

チームはすったもんだあって正規チームと破れかぶれチームができあがるわけだけど……。
破れかぶれ……(笑)


でも、調査して、統計取って、議論して、終わっちゃう。その間に睡眠や夢について延々と語られるわけだけど、一見すると煮詰まっているような、しかし焦げ付いていくような?

でも、その議論の過程がかなり面白い。
興味深いことは確かだよね。

会話も軽快でスイスイと読める。

睡眠時間の減少という謎の周辺では、性行為禁止の宇宙空間で性欲抑制剤を飲んでいるはずなのにのっけから欲情している不思議とか、「原発」の文字が飛び出す不思議とか、仕込みもそこそこされている。
バーナードはわかりやすかったよね。


原発に関しては作品の趣旨からすると若干浮いていて最初から違和感があったわけだけど、ラストに至って「まじかよwwww」とニヤニヤしてしまった。

それ、すっごい喋りたい!
いや、このネタバレはさすがに喋るわけにはっっ!
なんにしても、これはすごく壮大なSF失楽園だったんだな、ということで。
うむ、その程度にとどめておこう。


気になる人のみ、密林の奥地へと進むが良い!

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