海の御先 文月晃
文字数 1,263文字
東京から遠く離れた南海の孤島に一人で来た少年、後藤凪はそこで可憐な少女、鳴海雫に出会う。彼女はこの島に伝わる「龍神伝説」を彼に話したが、その伝説は二人の運命を大きく変えるものだった…。純愛漫画の傑作『藍より青し』の文月晃が贈る、南の島での新たな恋愛物語の始まりです。
(「マンガPark」より引用)
『藍より青し』は一部腑に落ちない部分があるものの、面白い漫画だった。
一部腑に落ちない部分があるものの、面白い漫画だった。
2作品読んだ結論として、この作家は背景を説明する気は一切ないのだろうと思うに至ったんだが、だめだろうか。
一つ、凪の転校の理由がよくわからぬ。
母親の故郷とはいえ彼女が死んだのはずっと前、父親も一緒に引っ越してくる予定だったらしいが(結果的に出張で海外に飛んでしまったが)、その場合は仕事をどうするつもりだったのか、謎すぎる。
一つ、竜神をともなって心中自殺する理由がよくわからない。
しかも出会って一年で。奥姫の伝説をなぞったと解釈はしてみたが、それでも腑に落ちない。
他にも細々不思議なことはあるものの、でも、そこに目を瞑ってしまえば、総じてストーリーは面白い。
2人失敗して3人目でやっと本番ができたシーンは……リアルだなあと思ってしまったよ(笑)
そんなエッチなシーンを除くと、いかにもなアオハル作品だった。
そうだね。あそこはちょいちょい重い。でも、はにかんだり、慌てたり、怒ったり嫉妬したり……彼女たちが好きという想いに正直なところ、気持ちのいい展開だったかなと思う。
そこはたぶん、凪が素でいいやつ、ってのが大きいんだよ。
向いてる向いていないというよりは、なんというのかな、女子ウケの悪い主人公がなぜかハーレムでモテモテ……な作品あたりは、やはり女性にはお勧めしにくいってのがあるんだよ。
作品の内容よりも、嫌悪感が先に立つでしょ?
できる! できる!
都会の神は神社という仕切られた空間の中に閉じこもり人からは隔てられているけど、この島では神はもっと身近に息づいているというシーンも、ぼくは好き。
神と人の境のない世界観って、原始的ながらもとても「自然」に見える。
八百万の神々は、目に見え、感じ、聴こえるその自然の中に等しく宿り、満ちている。