海の御先  文月晃

文字数 1,263文字

東京から遠く離れた南海の孤島に一人で来た少年、後藤凪はそこで可憐な少女、鳴海雫に出会う。彼女はこの島に伝わる「龍神伝説」を彼に話したが、その伝説は二人の運命を大きく変えるものだった…。純愛漫画の傑作『藍より青し』の文月晃が贈る、南の島での新たな恋愛物語の始まりです。


(「マンガPark」より引用)

https://manga-park.com/title/153

『藍より青し』を描いた作者さんの作品だね。

『藍より青し』は一部腑に落ちない部分があるものの、面白い漫画だった。
『海の御先』の方は?
一部腑に落ちない部分があるものの、面白い漫画だった。
……は?
2作品読んだ結論として、この作家は背景を説明する気は一切ないのだろうと思うに至ったんだが、だめだろうか。
え? 具体的に、どういうこと?
一つ、凪の転校の理由がよくわからぬ。

母親の故郷とはいえ彼女が死んだのはずっと前、父親も一緒に引っ越してくる予定だったらしいが(結果的に出張で海外に飛んでしまったが)、その場合は仕事をどうするつもりだったのか、謎すぎる。


一つ、竜神をともなって心中自殺する理由がよくわからない。

しかも出会って一年で。奥姫の伝説をなぞったと解釈はしてみたが、それでも腑に落ちない。


他にも細々不思議なことはあるものの、でも、そこに目を瞑ってしまえば、総じてストーリーは面白い。

ちょっとエッチなのも特徴だよね。
2人失敗して3人目でやっと本番ができたシーンは……リアルだなあと思ってしまったよ(笑)
まあ、誰だって、最初はね……。
そんなエッチなシーンを除くと、いかにもなアオハル作品だった。

とはいえ、巫女としての彼女たちが背負っているものは重いよね?

そうだね。あそこはちょいちょい重い。でも、はにかんだり、慌てたり、怒ったり嫉妬したり……彼女たちが好きという想いに正直なところ、気持ちのいい展開だったかなと思う。
ハーレムが嫌味じゃないのも特徴。
そこはたぶん、凪が素でいいやつ、ってのが大きいんだよ。
いわゆる「ハーレムもの」には、女子が読むには向いてない作品も多いからね。
向いてる向いていないというよりは、なんというのかな、女子ウケの悪い主人公がなぜかハーレムでモテモテ……な作品あたりは、やはり女性にはお勧めしにくいってのがあるんだよ。

作品の内容よりも、嫌悪感が先に立つでしょ?

この漫画は女性にもお薦めできるよね?
できる! できる!
ストーリー的な本筋からそれるんだけど、教師が都会に憧れる生徒に対して、

「都会にはこの島にないものがあるが、この島にあるものは都会には何一つない」

的なことを言うシーンがすごく好き。

都会の神は神社という仕切られた空間の中に閉じこもり人からは隔てられているけど、この島では神はもっと身近に息づいているというシーンも、ぼくは好き。

神と人の境のない世界観って、原始的ながらもとても「自然」に見える。

実際日本の神様って、本来はこの島にあるような形だったのかな、と思うんだよ。
八百万の神々は、目に見え、感じ、聴こえるその自然の中に等しく宿り、満ちている。
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