天稟 幸田真音
文字数 3,236文字
相場の世界に生き、敗戦の瓦礫の中から日本経済を立て直した男たちがいた!
米問屋から立身した山崎種二は、昭和史と共に激動する株式相場の寵児となる。しかし戦争によって経済は崩壊し……。山種証券創設者の人生を軸に、現代に通底する日本経済の危機を描ききる、著者渾身の歴史経済小説。
(KADOKAWAサイトより引用)
あれは痛恨の失敗だった。
駿河台に通うつもりで思って入学を決めたのに、まさかの和泉に通うことになるとは……。
あれは晴天の霹靂。横浜の水は驚くほど自分に合わなかった。
こうも違うものかと驚いた。同じ関東圏だし、そこまで違うとは思わなかった。ちなみに川内(鹿児島)までいくとまるっきり味が違っていた記憶があるよ。
とはいっても幼少期の記憶だし、まだ水道の整備が追いついていない時代のことだから今の水道事情は知らないけどね。当時は海水が混じったような水で、口に含むをかすかに塩辛かったんだよ。
実際ミネラルウォーターも採取地によって違うんだ。いつか飲み比べてみたらいいよ。
普段のぼくは水を買って飲むことはあまりしないんだけど、それでも稀に飲むときはたいてい富士山の天然水でさ。だから神戸のホテルで提供された六甲山のミネラルウオーターを飲んだ時に「かくも異なるか」と驚いたもんだよ。
どっちが主人公かと言えば山崎種二なんだけど、後半は清水浩の独壇場だったかも。
世界で通用する「取引所」となるべく再編が進んだ時期、懐かしいね。今じゃ再編を推し進める気があるんだか、ないんだか。
仕事で携わらなくなってしまったから今がどうなっているのかはよく知らないけれど。
2013年に東穀取が解散した時のことかな? あれは、時代の流れを感じてしまったねえ。
ロールケーキ!(笑)
残念ながら詳しいことは語れない。しかし、その件はどうなるのかと静観はしている。
ちなみにその取引所も米取引の流れをつないで今に続いた取引所だよ。
「証券」が名前に付く取引所だけでも東京、大阪のほか、札幌、名古屋、福岡とあるしね。
東京と言うエリアに絞っても一般に知られていないだけで実はいくつもの取引所が存在している。これだけあると、まあ、国が再編させたい気持ちもわからなくもない。
そのあたりは素直に読んでおきたいけど(笑)
確かに作中、ちょっと忙しいところがあるんだよね。一目ぼれの彼女を射止めて「大切にする」と誓ったにもかかわらず、長男が死んだ責任を妻におしつけボロクソに
そうだねえ。ジェンダーの問題についてはそもそも議論を尽くして発展させていく気があるのかさえぼくには疑わしい。
もうね、そろそろ日本が先進国であると自惚れるのはやめたらいいんだ。もはやこの国が先進国であったのは過去の話。
日本は遅れている。性意識も、教育も、本当に遅れている。
日本人が優れているという幻想にしがみつく限り、この国の未来に光はない。
いや、かなりの部分で女性にも問題がある。正直ジェンダーの問題がこんなふうなのは、「自分はこのままで回りが変われ」という他人任せの風潮がこの日本にはあるからだ。「男性の意識を変えたいなら女性が変われ」とぼくは思う。「それでも変わらない男なら捨ててもい」とも思っている。
非情に極端で危険な発想をするなら、身体的に産む能力を持ち、社会的に育てる知恵を持ち、同時に生きていくに十分な仕事のできる条件を揃えた女性にとって、男性は必要なものだろうか。種だけもらえれば十分なんじゃなかろうか?
天災、恐慌、戦争、疫病……。本当にそうだねえ。山崎種二も押し寄せる困難を乗り切ってきた人だし、こういう時に立ち上がる力を持った人はカッコイイと思う。