セーラー服にお願い!  田中メカ

文字数 1,855文字

松本雛菊は16歳の女子高生。ある日校舎の裏山の神社を半壊させ、ご神体の鏡を体に取り込んでしまう! そのせいで、否応なしに“神様代理”を引き受けるハメに!! ヒトにもなれる狛犬・シシとコマが同居し、雛を護ってくれるというが…!?


(「マンガPark」より)

https://manga-park.com/title/1141

本題に入る前に、たまたま「なんでも食べようとするペリカン」の写真を見て思い出したアニメの話をしてもいいだろうか。

『Donald Duck - Lighthouse Keeping』というのだが。

火を消したいペリカンと、火を守らなければいけないドナルド。

その攻防がとにかく笑えるアニメだね。

ドナルドが主役の短編アニメーションはどれもが笑えて楽しくて昔から好きなのだが、この灯台守の話はことのほか面白いんだ。

ぼくとしてはこの灯台守か、「Donald's Dog Laundry」か、お勧めを挙げるとなるとこの二つになるだろう。

犬のやつは、疲れ切った日に無性に人間用がほしくなるんでしょ?

多少の荒っぽさはあるんだけどさ、全身を綺麗にしてくれてパウダーもはたいてくれて、最後には干してくれるんだから、楽だよね。

疲れも一定のレベルを超えると服を脱ぐのさえ、いや、立ち上がるのさえ億劫になってくるからねえ。

それでも風呂に入らねばという罪悪感があって、そのまま寝てしまうには葛藤なんだよね?
そうそう。一日を過ごした体で布団に潜ると、なんというか、目覚めても何かがリセットされずに引きずったままの気もしてね。
布団も汚い気がする。
うん、汚い。
まあ、本題に入ろうよ。
神様の代行を務めることになってしまった漫画、というと、『神様はじめました』が最初に思い浮かぶ。
あれは面白い。そして、この手の漫画にはイケメン神使が欠かせない、というのが共通項。
主従関係でありながら、ちょっと反目があったりもして、でも最後は惹かれ合ってしまう、なーんてあたりも共通かもしれないね?
まあ、そのあたりのお約束を踏襲しても面白いものは面白いし、そうでないものはそうでもないんだから、不思議だよね。
『セーラー服にお願い!』も面白かっただろ?
タイトルの意味がさっぱりわからないことを除けば……。

なあ、ほんとこのタイトル、どういうことなんだ?(笑)

しっかし、神様ってのも因果な仕事なんだねえ。
人間を、愛しちゃいけないのか……。
うちの北辰の神様は、人間大好きなんじゃないの、あれ?

いやあ、うちの妙見は自分本位なところが過分にあるし(田中を巻き込んだのは完璧に気紛れだし)、特定の人間を愛しているかと言ったら決してそんなことはない。

広く一般に、概念としての人間を愛しているか、となるとまた別だけどね。

人を愛さない・執着しない、という、この作品で描かれる神様の像に妙見は近いと思うよ。

大樹(シオ)は?
あれは厳密に神かどうか。
消極的な介入を行い人の道を正す、という役割からしたら、大樹(シオ)も神様と同格だとぼくは思うんだけど……。
でも、大樹(シオ)は永遠じゃない。緩やかに枯れて最後は消滅する運命を背負っているからね。そこが神とは違う。
まあ、そうなんだけど。
話を戻すと、愛憎の表裏一体さ、というのもこの作品の神様は表現しているんだよね。
愛するゆえに暗い衝動が芽生える。それが負の力を生む。そして負の力の方が強い。

感覚的にも理解できる分野なのでは。

自分の感情に照らし合わせてみても、憎しみ、妬み、怒りといったマイマスの感情の方が自分の心を強く動かしてきたと思う。

でも、難しいよね。そういった負のエネルギーこそが生きること、そして成長する原動力になるわけだもん。 

そうだねえ。

負けたくない思い、欲しがる気持ち……そういうものは正しく働けば確実にその人にとってプラスになるんだよね。

ころころと色を変える自分の感情のそれが、たとえ何色であったとしても自分のものだと受け入れ、愛おしいと抱きしめてあげられると、ぼくらはもっと生きやすくなるんだと思う。
え? なんでそんな、うまく話をまとめようとしてるの?
ちょっとー! いいこと言ったのに台無しー!
えええ?
ともあれ、『セーラー服にお願い!』はちゃんと大団円になるんだろうというのが最初からわかる感じで、最後まで安心して読めたよ。
ぼく的には、九尾と彼女の行く末が気になるが。
この作者、物語の外での展開を見届けたくなるキャラを脇役に持ってくるのが好きなのかもしれないね!
『君のコトなど絶対に』もそうだったからなあ(笑)
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