キョンちゃん

作者 水沢せり

[その他]

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2000字文学賞参加作品です。

ファンレター

たしかにコメディー、しかしホラー

 こちらを拝読して、いまさらながらコメディーとホラーは紙一重なのだということを再認識しました。
 いや、リアルならホラー、フィクションならコメディーと、いったところでしょうか。
 最初に登場する女性の話の通じなさも、あとからやってきた「キョンちゃん」を大切にする男性の話の通じなさも、フィクションだと思うからニヤニヤと笑って読めるわけなのですが(語り口が軽妙なところもコメディー感を演出していると思います)、実際に自分がこの作品の主人公の立場だったとすると……よくよく考えずともとんでもない厄災に巻き込まれているわけですから、これはどうやったらこのピンチを切り抜けられるのだろうかと、読み終えた後で頭をかかえてしまいました。
 でも現実に、こういうマイ・ワールド没頭型な人って、いますよね。程度の差こそあれ、他人の話に一切の聞く耳持たないの。
 そういう人を相手にする時はコミュニケーションの難しさを感じもするし、苛立ちもするし、下手したら身の危険も感じもするしで、やはり、リアルだったらこれはホラー。そして、そういう身近な怖い話を笑い話に転嫁できるのも、小説の妙味かな、と感じました。
 ともあれ、主人公くん、逃げ切って!
 紙面の外からエールを送ります(笑)

返信(1)

ありがとうございます。
>フィクションだと思うからニヤニヤと笑って読めるわけなのですが
この言葉がなかったら、作者としては別の意味の恐怖が――。
永久凍土に閉じこめられるような、寒さを覚えずにいられてほっとしています。

お笑いって、話の通じない人がよく出てくるなと思います。
振り回す側、振り回される側、シチュエーション次第でどちらにもなるんですが、天然同士のすれ違いってあんまりないよなと思ったのがきっかけでした。
本当に、リアルでは出会いたくない方たちです。
これをプロは軽妙な笑いに昇華させるんですから、笑いとは奥深く、高い技術を要するのだなと思いましたし、いい経験もさせていただいたなと思います。

とりあえず、主人公くんがキョンちゃんを見つけられればなんとかなりそうですが。
連れ去られる前に商店会長さんが来るか来ないかで、脱出劇の内容がかわりそうです。