第27話◆約束・・・改
文字数 1,426文字
ラファルドが応対を代わり、セレナスは騎士に守られる場所まで下がる。
「実はな。
「――!?」
万座の注目が魔王に集まった。
「先程の騒動、
「……ほう? 随分、お
国王の目線が厳しい。
「忠誠を誓ってくれている――と。てっきり、なあ……」
魔王の視線が一瞬、
「ならば、お引き渡しいたそうか?」
「…………?!」
国王の独断に色めき立とうとした文武の官を、クリスファルトと宰相が視線で
しかし、疑問の色は二人の目にもあった。
「いや、気遣いは無用だ。もう、興味がない。好きに処断されるがよろしかろう」
「…………? ――!!」
国王の目が懐疑に染まり、一転してラファルドを厳しく
「…………」
それこそ、父を介してでも内々に処分してしまいたかったラファルドは、そ知らぬ振りをしつつも、わざとらしく視線を泳がせた。
「いずれまた騒ぎが起きよう。くれぐれも、不覚など食わされてくれるなよ?」
魔王の
「今日の第二弾、第三弾みたいなことがいずれ、とは困った話ですねえ……!」
国王は
「案じてもらう
「何、貴重な義実家候補だ。気遣いにまで遠
「……その話は、見送りになったはずでは?」
ラファルドが迷惑そうに突っ込むと、魔王は意味深な笑顔を浮かべる。
「当面、の話だ。俺は
不敵な魔王と、感情の無い国王の視線が正面からぶつかった。
「虚飾は無用。それから御客人、勘違いをされては困るな? 貴君の足労を思い、話だけは聞かせて頂いたが、
剣を
「応分に処置する」
だが、魔王は
「はっはっは!
「お待ちください!」
それなのに、セレナスが魔王を引き止めた。
「――――?!」
無言の悲鳴が嵐の如く吹き荒れる。
さっさとお帰り頂きたくこそあれ、引き止めるなどもってのほかだったからだ。
「おや?」
「もし、当方で新たなる下手人を捕らえました時には、
「……!?」
何を言い出すんだ!? という
蛮勇の化身と
「ふむ……」
魔王はラファルドとグラディルを
(可能性の無い話……でも、あるまいな。
拳を握って開くと、
「これに願いを掛け、我が名を呼ぶといい。”黒き風のゼルガティス”。それが通り名だ」
宝飾をセレナスに預ける。
「御免!!」
そして、今度こそ、空気に溶けるように姿を消した。
ラファルドとクリスファルトの二人がかりで確認を取って、魔王が完全に退去したことを仕草で奏上する。
「……つむじ風のように騒がしい方でしたわね……」
セレナスが呑気なぐらいの感想を