第4話◆晩餐・・・改

文字数 3,425文字

「よう参られたな、()客人」

薄暗い、石造りの方形の部屋の中央に、でんと位置する縦長の卓。
レースで縁取(ふちど)られ、刺繍(ししゅう)で花鳥をあしらった絹のテーブルクロスに、黄金の燭台が乗っている。
灯された明かりに(きら)めくのは鏡のように磨き上げられた銀の食器。
水を固めたかのように透明感(あふ)れるグラスに水を注ぐ給仕(きゅうじ)は密やかな影のよう。
華やかなのに地味という矛盾を無理なく体現する諸々(もろもろ)の奥に、公国の英雄が絵画から抜け出したような(たたず)まいで腰を下ろしていた。

「――――」

絶句したまま時間を止められたような少年二人を国王は(とが)めさえしない。

今宵(こよい)は饗応の招きに応じて頂き、(かたじけな)く思う。ささやかながら心尽くしの晩餐(ばんさん)を用意させて頂いた。束の間ではあるが、時を共にしてもらえれば嬉しい」

国王を上座(かみざ)正面にして、ラファルドが右手、グラディルが左手の席に案内される。

「――――」

用意されていく食事には目もくれずに国王を見つめるグラディル。
ラファルドはただひたすらに呆れ返っていた。

(……クリス兄さん、止めてよ……! こんな、子供でもしない悪戯(いたずら)は――!!

理由すら解らない、誘拐同然の召し出しの先に在ったのは国家のトップとお食事会。
(だい)大人(おとな)でさえ混乱する。
まして、食事を共にするのは歓待。(ほう)美と同義なのである。
勿論(もちろん)、少年二人は歓待される理由になど身に覚えが無い。思考は混乱の極致に在るはずで。
ラファルドも八つ当たりをすることで、思考がまともに機能する余地を確保していた。

(家の(から)みで多少の()れが在る僕はまだしも、ラディは純然たる一市民! ――あれ?)

気遣わし()に視線を向けたのに、グラディルは怒りに似た感情を国王に向けている。
ラファルドの想像とは(こと)なる反応だった。

「……こほん!」

!!

背後に控える給仕の(せき)払いで、少年二人は我に返る。
そして、国王への返礼が抜け落ちているという促しだとラファルドは解釈した。

此度(こたび)は特別な招請を頂きまして、誠に有り(がた)く――」

「堅苦しい挨拶(あいさつ)はよい。食事とは気楽に楽しむ物だ」

(……だったら、こんな子供じみた悪戯なんか仕組まないでよ!! 作法を飛ばしたら飛ばしたで苦情が来るんだから、そういうことはいの一番に言うのが大人の――)

「心得ました。では」

開き直ったとも取れるグラディルの簡潔な応答が、かえってラファルドを混乱させた。

(……ええっ?! ちょ、ちょっと――! この手の経験は無いものだとばかり――?!

「どうした?」

「――!? ……っ、あ、い、いえ――その、」

「そこな若者、グラディル=トラス=ファナンの父()は先代の勇者。存じておるはずだが?」

国王は冷たいくらいに落ち着いていて、不自然なくらい無表情だった。

「……ええ……、それは(なるほど? 大分(だいぶ)前から知り合いだった――、ってことか)存じて」

グラディルに気を()らした瞬間を(ねら)い打たれたと、ラファルドは確信する。
同時に、この晩餐が一種の茶番劇であることも()み込んだ。
問題はこんな大人気(おとなげ)の無い真似をしでかしてくれた理由である。

「壮健そうで、何よりだ」

ラファルドの返答を無視して、目を細める。

(ちょっ、)

「陛下の御壮健こそ、(まこと)に喜ばしく存じます」

簡素ながら、綺麗とさえ言える一礼を国王に返すグラディル。
慣れた感じすらあるやり取りに、ラファルドの混乱と絶句は拍車がかかった。

(――――ちょ、ちょっと――?! 侍女にひん()かれて、『もう、婿(むこ)に行けねえ……!』とか泣き(ごと)丸出しだった君は何処(どこ)に行ったのさ――――!!

「客人、席に着かれるがよい」

(すす)めに素直に従った少年には微笑(ほほえ)みを、逆らうように取り残された少年には牙を剥く(すご)みを与える。
二人の着席を合図に、部屋の隅に着座で控えていた楽器奏者が演奏を始めた。
空だった二人分のグラスに水が(そそ)がれていく。



取り立てた会話も無く、黙々(もくもく)と進む食事。けれど、華やかな晩餐に集中できない少年が一人いた。

(……くっそう……! 散々(さんざん)に恥をかかされてからに――! 事と次第によっては、こっちも容(しゃ)を捨てるから! まさかとは思うけど、ラディも共犯(グル)――は、どうなんだろう?)

黙々と健啖(けんたん)家ぶりを発揮している悪友をちらりと見やる。
真剣に集中しているからか、ラファルドは気づいてさえもらえなかった。

(先代勇者が公国最強の武芸者に師事していたのは誰でも知ってる事実だった……んだけど。勇者の息子とまで友誼(ゆうぎ)を結んでいたとは……。前もって教えてよ――は、無理だよね。国王にまつわる事柄って普通、緘口(かんこう)令が敷かれるものだし。想像しなかったなあ……。小母さんは王家と付き合いを持てることが必ずしも幸運と呼べないことを解っていた。今更(いまさら)だけど、二人がどういう付き合いなのか、後で小母さんに話を聞きに行こうかなあ?)

ラファルドは半分以上拗ねていたが、事実は少し異なっていた。
グラディルも大人気ない態度に終始した国王も、ちらちらとラファルドの様子を窺っていたのである。
片方は大丈夫かなあ……? と何処か不安気に、もう片方は(さじ)加減、間違えてないよな……? と不吉めいた予感に、そわついていた。
ただ、双方共に武芸に通じており、危険を察知する本能には()けている。
ささやかな仕草にも敏感に反応し、ラファルドの視線が動く時には完璧な外(づら)という盾を装備できていたのだった。
何故、そんな事になっているのかと言えば、一人だけ明らかに黒雲を(まと)っているからだ。それも、豪雨の代わりに稲妻がちらつく雷雲。
今はまだ放電の段階だが、何時落雷に変わるか判らない危惧(きぐ)が消えない。
グラディルと国王の間では無言の押し問答(という名の責任の(なす)り付け合い)が始まっていた。

『どうすんだよ、これ! (こわ)過ぎなんですけど!!
『知るか!』
『――おい。何の考えも無しに(あお)ったのか?!
『知るか。都合(つごう)と事情なら、こっちにも有る!!
『何だよ、それ』
『教えてなど、やらん!』
『……。あ、そ。んじゃ、頑張って』
『――待て。何の為に貴様を巻き込んだと』
『……やっぱり(ろく)でもねえ事、企んでたか……!』
『おっと』

(とりあえず、ラディの疑惑は一旦棚上げで。陛下のお考えは(ただ)さないと危険だけど)

「陛下」

!!

(かす)かにビクついたのは二人同時。

「何だ」

しかし、素っ気無いくらいの応答は胸中を全く(さと)らせなかった。

「もう御一方(おひとかた)、お見えになる予定がお有りのようですね?」

国王の対面の空席にも銀食器とナプキンが用意されている。

「…………。待て。今しばしで到着しよう」

不自然な間も気になったが、それ以上に絶句させられた事が在った。

(……もう、しばらくって――!! ええーっ?!

今日の晩餐は国王の主催。しかも、事前周知無しという極めて私的なもの。
客分である少年二人が会場に到着した時には既に、主催者にして主(ひん)である国王が着座していた。
これは特例だ。
砕けた雰囲気(ふんいき)を作る為の配慮は予告無しで使者を差し向けた非礼への謝罪であり、一介の学生でしかない者に過剰なほどの待遇を押し付けることへの(へりくだ)り。上位に立つ者が下位に在る者に(ふところ)を示したのである。
つまり、最も遅い参上が許されるのは国家最高の主権者である国王が招く客分にして、最も身分の低いラファルドとグラディル。
それ以上の遅参は原則、許されるものではない。

(……非常識にも程が在るんですけど。……欠席ではなく遅刻――好意的に、常識的に解釈するとしたら、余程重要な人物ってことに……!)

ラファルドもグラディルも『学生』。身分と看做される立場は持っていない(・・・・・・
)

国王の知己(ちき)だとしても、身分は下の者。そして、国王は国家の最高主権者である。

(どういうこと? 国王が顔を繋がなければいけない(多分、自分達にとっての)重要人物って――)

胸中の(ひと)り言なのに、皮肉が籠ってしまう。

閉め切られた扉の両脇に控えていた騎士が、一歩進み出た。

「第三王女殿下、セレナス=アストアクル様! ご到着に御座います――!!

「(なるほど、着替えか! だったら――、――って、この会食は――)!!

?!

反射的に席を蹴立(けた)て、物凄く怖い表情で国王を(にら)むラファルドにグラディルが真っ青になる。
誰がどう見ても、ラファルドが無礼だからだ。
騎士達による取り押さえを食らわずに済んだのは、悠然(ゆうぜん)と彼らを一瞥(いちべつ)してのけた国王のせいだった。
必要がない限り(・・・・・・・)、動くなという無言の命令。
では、必要を判断するのは誰か――この場の主催者である国王ただ一人。
国家の最高主権者が悠然と構えている限り、それに倣う以外のことは許されないのだった。
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登場人物紹介

登場人物を紹介していきます――のコーナーなのですが、

作者にちょっと暇と余裕がないので、とりあえず、名前がメインになります。


申し訳ありません!


基本的には短編集の時と同じように、適宜かつ随時、継ぎ足していく予定です。

よろしくお願いします!

●グラディル=トラス=ファナン

:勇者を志す、軍学校所属の少年。10代の少年としては大柄で、筋骨逞しい外見の持ち主。

父親は公国の公認を得ていた先代勇者。恵まれた身体能力、回復能力を持つ。

市井の、貧しい方に入る家庭の出。

竜の血と呼ばれる異能を継いでいる。

自分の父親のせいで、ラファルドの父親が異能を喪失したことを、ずっと気に病んでいた。

〈竜気〉の使い手。


●グレゴール

:勇者試験参加者を統率する、軍学校の教官。グラディル達のクラス担任でもある。

生意気盛りの生徒たちから一目を置かれる程度には凶暴。

●ラドルフ

:軍学校在籍の少年。グラディルの級友。背丈は同程度だが、身体の厚みではややグラディルに劣る。

冷静な言動を好む。勇者試験に参加している。


●ヴァッセン

:軍学校在籍の少年。グラディルの級友で、悪ガキ仲間。中肉中背。

就職に有利になるかと考えて軍学校の門を叩いたが、軍人としての将来は考えていない。

勇者試験の参加は見送った。三人で一番現実的。

●ラファルド=ルヴァル=セルゲート

:王立大学付属の高等学校に通う少年。中肉中背。グラディルと腐れ縁の古馴染み兼監督役。

学生寮で一人暮らしをしている。

異能の血族の一人にして、神祇の一人。大人顔負けの才覚を持ち、発揮する。

その影響なのか、反動なのか。必要以上に大人びた、可愛気に欠ける言動が目立つことも。

国王と親戚付き合いをする(父親の縁)けったいな家の出。

年々、異能が衰えていることを、グラディルに黙っていた。

●ガルナード=アストアル

:セレル=アストリア公国国王。ちょっとお茶目な働き盛り。

趣味はこっそり宮殿を抜け出すこと、強者との勝負。

国王の重責を理解してはいるが、同時に辟易している部分がある。

もしかしなくても、娘馬鹿。公国最強の武人としても有名。

大人気ないこともあるが、それすらも確信犯である時が多い。

親友の息子の一人であるラファルドは可愛気に欠けることが多い(割と危なっかしい)

「甥っ子」みたいなもの。


●ミラルダ=マインズ

:第三王女に仕える王宮の古強者の一人。肝っ玉おっかさん。

主人のお転婆が少々悩みの種。幼馴染の紹介で王宮で働くようになった。

庶民出の出世頭として、割と有名な人。


●アスカルド

:近衛騎士団長を務める男盛り。近衛最強だが国王には及ばず。

第三王女の素行の被害を(立場上)一番よく被る人。

取り潰しに遭った、とある貴族の家の出身だが、家に興味は無い。


●シュヴァルト=アインズ=グレスケール

:辣腕で名高い公国宰相。元々は王族の家系。

娘を国王に近づけ、さらに実権を握ろうと画策中。

才色兼備のロマンスグレーだが、国王にはしてやられることが多い。

昔の恋を今も引きずっている……らしい。


●クリスファルト=ダグム=セルゲート

:ラファルドの兄。少年時代はやんちゃだったが、今は生真面目のきらいあり。

爆走を辞さない弟たちに振り回される運命……なのか?

政治感覚に優れているが、神祇としての序列は高くない。

●セレナス=アストアクル

:公国の第三王女。市井では「白百合姫」と評判を取る美少女。

しかし、その正体は……。

孤独を負いつつも、快活な少女だが、何故かグラディルには当たりがきつい。

思わぬことから、魔王の見合い相手に選ばれていたことを知ることになった。

グラディルが羨ましい……らしい。

傍目には、結構残念に思えるところが在る。

●ラシェライル=ヘディン

:グラディルの幼馴染の少女。美人。

グラディルよりも遥かに早くから、かつ長く、王宮に勤めている。

しっかり者。粒は小さいが、上等な紅玉をお守りとして持っている。

●男

:裏町で一定の悪党をまとめ上げる人物。

下町ではそれなりの大物と思われているが、裏社会では下っ端階級の中間管理職。

鼻が利くことと、人を見る目の確かさが取り柄。

今回は面子が邪魔して、裏目に出た。


●依頼人

:仮面をつけた余所者。悪意を以て謀(はかりごと)を為そうとしているようだが。

男に看破されているように、悪党のことは一欠片も信用していない。

魔王征伐を企んでいるらしい。

公国主催の晩餐会に満を持したように登場した。

他者から魂を奪い、魔族に生まれ変わらせる異能力を持つ。

●セルディム=マグス=ファナム

:グラディルの叔父。事情が在って、故郷を離れていたが、久し振りに公国に戻って来た。

体調に不安あり。雄偉な体格をしているが、背丈はグラディルの肩程度。

制御を受け付けない血の力に苦悩し、方策を求めて彷徨っていた。

晩餐会での騒動に、悪意を以て加担したと言明する。

とある組織に在籍していたらしい。

多重人格者?

●サマト

:第三王女付き近衛の一人。姉と妹がいるため、女性の扱いには多少、慣れている。

近衛騎士団の、若手出世頭の一人であり、誰からもやっかまれるような男前だが、凶暴につき。

第2話で、少年二人の前で膝を折ったのはこの人。

侍女頭には負けるものの、第三王女と(心情的に)近しい関係を築いている。

●サティス

:魔族。獣魔遣いの一人。

魔族ではゼルガティスに好意的な方だったが、生真面目な部分もある。

黒幕にはなれないタイプ。


では、何故、離反するような真似に出たのか……?

●ゼルガティス

:魔王を名乗る魔族。本拠は海の向こうの大陸に在る。

青年然とした暴れんぼ将軍系?

往生際の悪い所があるようだ。

●ラジアム=グリディエル

:騎士団所属の騎士。

元傭兵であり、騎士の中では柄が悪く、王家にも騎士道にも夢を見ていない。

一見、がさつに思われがちだが、人品・技量共に確かなものがある。

中堅どころ。

???

:謎。魔王ゼルガティスに悪意を向けている。


●フィルグリム=ソラス=セルゲート

:ラファルドの弟。もしかしなくても、利発。

神祇としても優秀であり、将来の為に、今から不自由な生活を強いられている。

ちなみに、「兄上」が指す相手はラファルド一人だけ。他の兄を呼ぶときは、「○○兄上」のように、名前が入る。

成長期はこれから。


●レテビル=スラウフェン

:フィルグリムの補佐と監督を兼務する青年。

グラディルが目を付けたように、武芸に長けている強面。

主人のことは大事に思っているが、感情として発露することは稀。

一度は、ラファルドのお付きになる予定が在った。

●大使

:晩餐会に招待された異邦からの客人。

セレナスのことを気に入っている。

実は、とある人物の変装だった。


●魔族

:突然、晩餐会に乱入してきた。

ドルゴラン=セグムノフを名乗っている。

戦闘の最中、怪物へと変貌した。

さらには魔人へと脱皮し、猛威を振るはずだったが――。

主の意志に従い、戦場から退場する。元人間。

ある人物の影武者をしていた(主命)。


●ドルゴラン=セグムノフ

:最初は魔族を影武者にして、正体を偽っていた。

正体は……どうも、声とは違っているらしい。

そして、公国王室の縁戚だという事実も発覚。

恐るべし、公国の良心! である。

実は少女だった。


●フォルセナルド

:魔族。「依頼人」の名前。

先代魔王の血を引いており、人間風に言うならば王族に相当する。

ただ、仲間内での評価は、鼻っ柱だけ、と辛目。

魔王ゼルガティスの事は登場からよく思っていない。

身内にはやや甘いところもあるが、敵対する者には基本的に非情。

●ディムガルダ=セルゲート

:ラファルド達兄弟の父親。セルゲート家先代当主。

先代国王の治世から公国に仕えている、筋金入りの仕事人。

穏やかで鷹揚な気性に騙されると、偉いことになることがある。

国王ガルナードが常に一目を置く、公国最”恐”の人物であることは忘れられてはならない事実なのだが、

結構な頻度と確率で忘れら去られる、恐るべき人柄の持ち主。


●クラウヴィル=ファランド

:クリスファルト=セルゲートの仕えたる武士。

勤務中は冷静無私だが、非番中は喜怒哀楽が豊か。

クリスファルトにとっては、気の置けない友人でもある。

●白い竜

:突如として城下に出現した、白い体躯の巨大な竜。

その正体はセルディム=マグス=ファナムだった。


●ジェナイディン

:ゼルガティスの国で、執事の役割を務めていた高位魔族の一人。

主であるはずの魔王に謀反を仕掛けた。


●半裸の男

:???


●貴様

:半裸の男とは相容れぬものながら、対になる存在。とある事情から、この世界においては姿形が無い。

●それ

:セレナスの窮地を救った何か。転移符の首飾りを持ち去ったのは対価……というか、辻褄合わせの為。

その正体は……爆笑で神様とラファルドの間に割り込んだ何かであり、神前の魔。

神前に構える魔は補佐であり、守りであり、牙で在るもの。背後に在るのが宝であれば、神器レベルの逸品の守護者。だが、背後に「神」を戴くその時は――最凶最悪の寓意として、恐るべき本性を備え、現すことになる。

なぜならば、神聖の極点である「神」が魔を従える――それは、”世”の事象全てを司り、制する「万象の王」の顔を現すからだ。


●青年

:その正体は謎……、とか言うまでもない。神様。

ただし、セルゲート家が伝える”神様”とは、別の存在であるらしい。


●イーデンナグノ=ソルド=ファラガンオルド

:”亜”世界でグラディルを待ち受けていたもの。自称している通り、〈混沌〉を肉親に持つ極めて稀有な竜種。竜であることを自他共に任ずるが、その正体は「竜」という括りからも遠くかけ離れており、竜でありながら、如何なる竜のカテゴリーにも属さない。力有る神々をして、悪夢の存在と言わしめる〈古代種〉の「竜王」。その最強(最凶)をして、”化け物”と畏怖させる実力を持つ、という。


●イーデガン=ファラグノルド

:古文書に時折名前が出て来る伝説の竜神。〈光炎神竜〉の二つ名が特に名高い。

しかし、実在を確かめた人間は存在しない為、御伽噺の住人だという声が強い。

ただし、世界にまつわる秘密を知るようになると、その存在を疑う者はいなくなるのだとか。


●白双

:双頭の白竜、そこから来た異名。ただし、二つの頭を持つ竜王はそう多くない。

〈古代種〉に数頭存在する程度、らしい。

グラディルの前に現れた白双は事情が在って、本来の姿からはかけ離れた状態にある。

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