第19話◆顛末・・・改
文字数 1,305文字
魔力の弾丸の掃射を
だが、サティスの姿は残像となって消えてしまった。
「――なっ!?」
騎士や
しかし。
「甘くてよ」
セレナスの唇が孤を描いた。
「いぃやあああっ!!」
「――ぐぼぉっ」
突き上げる槍のようなグラディルの飛び蹴りが、上空に移動していたサティスの腹に決まる。
そのまま
「逃がすわけねえだろうが!!」
「これで、捕り物は
セレナスは物足りなさそうにため息をつき、魔族が息をしていることを確認する。
「上首尾かと」
「!?」
振り向けば、一番近くで仕えてくれている
「サマト……!! 良いのですか?!」
「お陰様で、というところですね」
「……良かった……!」
「御心配をお掛け致しました」
普段通りの笑顔で一礼する騎士に、王女は心からの笑顔を返す。
そして。
別の一角で、また瓦礫が
「……くっそぉおおお……!!」
あっという間に衛士の槍が
その顔にセレナスは見覚えが在った。けれど、もう何の関心も無い。
「……な、何が――白百合姫だ……、とんだお転婆――」
余計な口を利くなとばかりに、騎士の指揮の下、迅速な制圧が始まる。
それでも悪党は
「偽者を、掴ませ、やがっ、てええええっ!!!」
「下郎!!」
騎士が数人、取り抑えの増援に加わり、
セレナスはぽかん、と
「…………偽、……者……? この、
「――ラディ」
「おう!」
「……この――、むがっ!?」
粗相と承知で王女の口を
「――――」
廃墟と化した聖堂からの去り際、ラファルドは或る宙の一点をわずかに見据え。
そして、
「ふむ。中々生意気そうな玉だな。楽しくな――、おっと!」
直後、数本の槍が声の出所と
「手応えは?」
騎士が衛士に
「……在りませんね……」
「去ったか……?」
騎士団は現場の後始末を加速させた。
「んもうっ! どうして、私が逃げ出さねばならないのです!?」
ラファルドとグラディルの後を追って来たサマトの要請で、セレナスは解放された。
しかし、途端に暴れ出して、一人、被害を食い止める破目になった(腹いせを食らった、とも言う)グラディルは現在、足元で轟
「――――」
セレナスの剣幕のせいだろう。
聖堂の外で事後処理に当たっていた騎士団員が仕事の手を止めて、四人を注視していた。
おかげで、周囲は水を打ったように静まり返っている。
「殿下。脱走と大暴れを
大暴れを前に絶句していたラファルドの声は、
「当然です! それとこれとは関係がありませんけれどっ!!」
直後。
見事な平手がセレナスの