初めての方術3

文字数 912文字

現在の方術は素養さえあれば誰でも簡単に使えるものになっています。

もっとも方術印がなければ、コマンドワードを知らなければ、方術の知識がなければ、触媒である発動体がなければ方術は使えませんが。

この中で方術を使ったことがない人はいないかと思い――

はいっ
 元気よく手をあげる。
おや。

サダーシュ君は本当に一度も方術を使ったことがないんですか?

私が暮らしていた場所には方術を使える人が住んでなかったので。

何度か冒険者の人に教えてもらったことがありますけど、一度も成功してません

 あの人たちもあまり方術が上手って感じはしなかったしね。

サダーシュ君の暮らしていた場所はディープティールの森の近くでしたね。

ふむ、魔獣の生息地が近い場所で暮らす人が方術を使えないというのは少し疑問がありますが、正式に習っていないのならそういう可能性もありますか。

……いいでしょう。前へ来てください

 教壇の前に立つ。

 そこには方術印の描かれた紙と棒が置いてある。

 おおー、これが方術のための道具なんだ。なんだかワクワクするね!

では方術を実際に試してみましょう。

ここに発光の方術印があります。発動体としてこの棒を持ってください。これが発動の助けになってくれます。

コマンドワードは『発光』。どのぐらいの光にしたいかイメージをまとめることができたら、その言葉を口にしてください。

いいですね

はい!

 方術の知識――イメージが大事なんだよね。

 光、ひかり……やっぱり派手な方がいいよね。

 ツグース君ぐらいビカーッって感じのイメージをして……。

いきます。

〈発光〉!

 同じ轍を踏まないために目をぎゅっとつむってコマンドワードを声にした。


 ………………あれ?

 全然まぶしくないんだけど。

発動しなかったみたいですね。

もう一度やってみましょう

はい。

――〈発光〉

 ……むむ?

 やっぱりまぶしくない。

光らないですね。

もしかして発音が間違ってたりします?

いいえ、大丈夫です。

発動体があってないのかもしれませんね。

こちらのワンドを使ってみてください

 先生から30センチぐらいの棒を渡された。

 先端にはきれいに磨かれた石みたいなものがついている。

じゃあいきます。

――〈発光〉

 まぶしく……ない。
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登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

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