初めての方術3
文字数 912文字
現在の方術は素養さえあれば誰でも簡単に使えるものになっています。
もっとも方術印がなければ、コマンドワードを知らなければ、方術の知識がなければ、触媒である発動体がなければ方術は使えませんが。
この中で方術を使ったことがない人はいないかと思い――
サダーシュ君の暮らしていた場所はディープティールの森の近くでしたね。
ふむ、魔獣の生息地が近い場所で暮らす人が方術を使えないというのは少し疑問がありますが、正式に習っていないのならそういう可能性もありますか。
……いいでしょう。前へ来てください
教壇の前に立つ。
そこには方術印の描かれた紙と棒が置いてある。
おおー、これが方術のための道具なんだ。なんだかワクワクするね!
では方術を実際に試してみましょう。
ここに発光の方術印があります。発動体としてこの棒を持ってください。これが発動の助けになってくれます。
コマンドワードは『発光』。どのぐらいの光にしたいかイメージをまとめることができたら、その言葉を口にしてください。
いいですね
方術の知識――イメージが大事なんだよね。
光、ひかり……やっぱり派手な方がいいよね。
ツグース君ぐらいビカーッって感じのイメージをして……。
………………あれ?
全然まぶしくないんだけど。
……むむ?
やっぱりまぶしくない。
先生から30センチぐらいの棒を渡された。
先端にはきれいに磨かれた石みたいなものがついている。