物見の儀4
文字数 1,095文字
先生は照れたように笑っていた。
きっと真面目でいい人なんだろうなぁ。
同じマジックユースのイーサを見ると、こくりと頷いてくれた。
うっさいわね。
どうせ私の住んでた場所は辺境ですよーだ。
マジックユースであれば方術の発動体――触媒さえあれば方術印は使い捨てではなくなります。さらに通常の方術師より高い効果が得られます。これがマジックユースの需要が高い大きな理由です。
繰り返しますが、だからといってマジックユースが特別なわけではありませんよ。求められる機会と場所が多いというだけのことです
教壇の周りを歩いていた先生の足が止まる。
私たちには背中を向けていた。
くるりと先生が振り返る。
ちょっとうわぁって思うほどのドヤ顔をしていた。
ボクが研究をしているのは、ずばり『魔法』です!
この世界では遠い過去に失われた理ではありますが、方術をはるかに上回る柔軟性、効果が得られると考えられています! まだまだ研究の段階はありますが、魔法は多くの人たちにとって福音になってくれるとボクは信じています!
もし、もしもですよ。皆さんの中に魔法を学びたいという方がいたらぜひ! ボクと一緒に学びましょう! そしてボクはいつか大魔法使いになる!
熱弁を振るってるけど私には方術と魔法の違いがよくわからないのでぽかんとしながら聞くことしかできなかった。
ただ勢いと熱意だけは間違いなく伝わった。
なのにユースの属性に優劣なしの話で拍手をしたイーサやトゥシスは困り顔をしている。
そうなんだ。
でも方術でも魔法でも使えるようになれたら楽しいと思うんだけどなぁ。
こうして私の王立学院での生活が始まった。