教師陣1-2
文字数 962文字
ゴウロウンはグラスをあおって空にする。
もちろんゴウロウンも簡単な方術ならば行使できるが、方術印を持ち歩かないので普段は全く使わない。
方術師の強さとはどれだけ高性能の方術印を持っているかどうかだと揶揄されるのも仕方がないと考えるクチである。
それは正確ではありません。誰でも方術が使えるとは限らないのです。方術を先天的に使えない人は本当にいるんです。
亜人の中では特にドワーフたちが苦手にしています。彼らは世界に対してボクたちとは異なる理論を持っているために方術を受け入れることができないというのが定説です。
実際にドワーフで方術師というの人をボクは知りません
ボクだって資料の上では知ってました。知っていましたけど、実際に方術が使えない生徒に会ったのは今日が初めてだったんです。
だってここに来る生徒はみんな優秀で、方術印さえあれば使える子ばかりだったんですから……はあ
気軽にこれからの訓練で使えるようになりますなんて口にしてしまいましたけど、現実としてこの世界には方術が全く使えない人がいるんです。
彼女がそうだとしたら、ボクはなんて残酷なことを口にしてしまったんだ……
ジュリウスが驚くなど珍しいことがあるものだとグラスを傾けながらゴウロウンは思う。
長い付き合いだが、彼がこんな風に驚いたのはケントールが小柄で美人の嫁を迎えたのを知った時以来ではないだろうか。