授業:マジック1

文字数 867文字

 いつものように並んで朝ご飯を食べながら、修理に出していた剣が代表選考戦に間に合うと思うって話をしておいた。

 これできっとイーサの力になれると思うよって言ったら、また抱き着かれてしまってみんなの注目を集めちゃったんだけどね。


 男子からうらやましそうな視線を向けられていたんだけど、気のせいではないはず。

 ふふふ。大事な友達のイーサは男子になんて絶対に渡しませーん。


 みんなに見せつけるようにイチャイチャしてたら、離れた席のトゥシスがすごい目で睨んでいるのに気が付いてしまった。

 今後は人目のある場所では控えるようにします、はい。

サダーシュの剣が戻ってくるのは頼もしいですけど、そのことはみんなに内緒にしておきましょう。

当日になったら他のチームをあっと言わせてやるんです

いいけど……イーサって意外に意地悪さん?
そんなことはありませんよ。そこは戦略家と言ってください

 そう言いながらイーサが胸を張ると豊かなものがぷるんと揺れる。

 くっ、格差社会っていうのはこういうことなんだね。私は心の中で血の涙を流していた。



        ※        ※        ※



 マジックの授業は私だけ別メニューになっている。

 方術が一つも扱えないんだから仕方がない。

 訓練場では派手な音や光が飛び交っているけど、私の周りだけはとても静かだ。

 だって今日も方術は成功していないから。

……ふぅ。

集中しないと

 机の上には桶が二つある。

 一つは空で、一つには水が満たされていた。


 紙に描かれた方術印は水を集める集水という方術が込められている。


 方術を発動させるにはイメージが大切。

 だからこの方術の練習をする際に、私は片手を水の入った桶に突っ込んでいる。

 手で水を実感しながら方術を発動させることで成功率を高めるこの練習方法は、マジックユースの授業を受け持つジュリウス先生に教えてもらったものだ。

むむむ……
 右手に感じる冷たい水の感覚を心にイメージしながら左手に持った方術具を掲げ、コマンドワードを発する。
――〈集水〉
 だけど空の桶には変化が見られなかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色