王都1
文字数 960文字
おじさんが王都へ入る手続きをしている間、私はフードの下から王都に入る門の様子を眺めていた。
とにかく人が多い!
王都に入るために行列ができているんだけど、これまで私が出会った人たち全部を足しても行列の人数に足りないかもってぐらいに多かった。
それにいい匂いがしてくる。
おじさんの話では門のところに屋台がたくさん並んでいるんだそうだ。
そして外からやってきた人たちにいい匂いをかがせて財布の紐を緩ませる作戦なんだそうだ。
うん、これはたしかに財布の紐も緩くなるよね!
どんな食べ物なのかなぁ。お金はあんまりないから買えないけど、せめてどんなものかはこの目で確かめておきたい。
詰所みたいな場所には槍と小さめの盾を持った兵士さんたちがいる。
ここへ来る前は兵士さんってみんな怖い顔をしているのかなって思ってたんだけど意外に普通の人たちだった。
おじさんは兵士さんといろいろお話をしたり、書類に何か書き込んでいるみたい。
ああ、さっきよりも匂いが濃くなってきた……。
ぐううう~。
なんか揺れるなぁって思った次の瞬間だった。
バキィと乾いた音がして馬車が傾いたまま止まってしまう。