それよりも次の試合だ。
おそらくケインズたちが上がってくるだろうが
ケインズ君たちはヨシリアム君たちのチームと戦うことになっている。
戦力的にも練習試合の実績でもケインズ君たちが有利かな。
みんなが茫然としている。
特にイーサとトゥシスの驚きは大きいみたいだった。
どうしてケインズたちが負けるっ。
負ける要素はなかっただろう!
実際、練習試合の勝率ではケインズ君たちは私たちに次いで高かった。対ヨリシアム君チームとの勝率も七割はあったはず。
順当ならケインズ君たちが勝つ。誰もがそう思っていた。
負けたケインズ君たちがこちらへやってきた。
あれ? ケインズ君ってその杖を使ってたんだっけ?
あれれ? ヘイズもいつも使ってる武具と違うくない?
直前で作戦を変更したの?
ヘイズは一撃の重さと広げれば防御にも使える鉄扇を使っていたはずなのに、今は長柄の武具を持っていた。先端部分が継手でつながるフレイルタイプだ。
これは距離を取るために使ってみようかなって思ったから……
言い訳じみたことを口にしながら背中に隠そうとするけど長柄の武具だから丸見えだよ。
どういうことだ。
どうして使い慣れない武具で戦ったっ
私たちはお嬢たちのチームを応援しているのでぜひ勝っ――
一瞬、誰が口にしたのかわからないような小さくて低い声だった。
貴方たちが十全の力を発揮できないように何者かが工作をしたのですね?
イーサってこんな声を出すこともあるんだ。
きっとこれは怒っているんだ。
グラグラと煮立つような怒りを堪えている声だ。
私の口からは何も言えません。
負けたのは事実ですから
それだけ言うとケインズ君は口を閉じてしまう。
嫌な沈黙が落ちる。
ヘイズに促されるようにしてケインズ君たちが立ち去るのを私たちは無言で見送るしかなかった。