代表選考戦4

文字数 976文字

それよりも次の試合だ。

おそらくケインズたちが上がってくるだろうが

 ケインズ君たちはヨシリアム君たちのチームと戦うことになっている。

 戦力的にも練習試合の実績でもケインズ君たちが有利かな。

『――勝者、ヨシリアムチーム!』
 信じられない試合結果のアナウンスが聞こえた。
ケインズたちが負けただと!?
冗談だろ?
まさか……

 みんなが茫然としている。

 特にイーサとトゥシスの驚きは大きいみたいだった。

どうしてケインズたちが負けるっ。

負ける要素はなかっただろう!

 実際、練習試合の勝率ではケインズ君たちは私たちに次いで高かった。対ヨリシアム君チームとの勝率も七割はあったはず。

 順当ならケインズ君たちが勝つ。誰もがそう思っていた。


 負けたケインズ君たちがこちらへやってきた。

……言い訳はしない。

私たちの負けだ

ケインズ……
 トゥシスが睨みつけるようにケインズ君を見ている。
すまない、お嬢。

不甲斐ないばかりだ

 イーサは黙って首を横に振る。
あれ? ケインズ君ってその杖を使ってたんだっけ? 

あれれ? ヘイズもいつも使ってる武具と違うくない? 

直前で作戦を変更したの?

 ヘイズは一撃の重さと広げれば防御にも使える鉄扇を使っていたはずなのに、今は長柄の武具を持っていた。先端部分が継手でつながるフレイルタイプだ。
これは距離を取るために使ってみようかなって思ったから……
 言い訳じみたことを口にしながら背中に隠そうとするけど長柄の武具だから丸見えだよ。
どういうことだ。

どうして使い慣れない武具で戦ったっ

 声を押さえたトゥシスがケインズ君に詰め寄る。
私たちはお嬢たちのチームを応援しているのでぜひ勝っ――
……武具を隠されたのですね?
 一瞬、誰が口にしたのかわからないような小さくて低い声だった。
貴方たちが十全の力を発揮できないように何者かが工作をしたのですね?

 イーサってこんな声を出すこともあるんだ。

 きっとこれは怒っているんだ。

 グラグラと煮立つような怒りを堪えている声だ。

私の口からは何も言えません。

負けたのは事実ですから

 それだけ言うとケインズ君は口を閉じてしまう。

 嫌な沈黙が落ちる。

あたしたちは行くね。

お嬢たちはがんばって!

 ヘイズに促されるようにしてケインズ君たちが立ち去るのを私たちは無言で見送るしかなかった。
こんなこと……許せません
 イーサの声にみんなが頷いた。
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登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

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