授業:ガード2
文字数 1,300文字
呆れるような目で私を見ているのは、左手に艶のない黒色の
手の甲から肘の先までをカバーしていて前腕をがっちりと守っている。しかも手を握ると拳の部分で殴れるようになっていた。
ガードユースでありブロウユースでもあるトゥシスならではのオリジナル装備だ。
ワンポイントで朱色も入っていておしゃれにも気を配っている。
ガードのケントール=フィルマウス先生のしゃべり方って慣れないなぁ。
なんであんなに体をクネクネさせるんだろう。2メートル近い体格でああいう動きをされると、なんていうか、その……キモいよね。言葉遣いもなんかヘンだし。
今はガードの授業中だ。
そして私とトゥシスは訓練場の中央で対峙している。
ガードは人の姿をした盾として身分の高い人の近くに仕えることが多いユース。まさに護衛することに特化している。
通常は頭から足まですっぽりと覆うフルプレートだとか、全身が隠れてしまうぐらい大きな盾を持つことが多いんだって。
でもトゥシスはブロウユースでもあるから攻防一体の武具をということで長手甲に落ち着いたんだそうだ。
以上、イーサ情報でした。
物見の儀でトゥシスはガードのダブルだというのをみんなが知っている。
ダブルは同じ属性の武印を二つユースだ。トゥシスの場合はガードを二つ持っているわけ。
ちなみに武印のアザがどこにあるかは教えてくれなかった。
じゃあ、このダブルってどれぐらいすごいの?って話になるのは当然だと思う。だって珍しい存在なんだし。
数字に例えるとおよそ二倍になると考えればいいんだって。
ただし人によって数値は上下するし、相性のいい武具を使う場合はもっと高くなったりもする。
例えば武印が一つなら+10として、それがダブルだと+20って感じかな。これだけでもどれほどすごいかわかるでしょ。
目安として+1はユースじゃない普通の人が何年も訓練をして至る力量だと考えればいいかな。
だから+10は何十年もの鍛錬の結果たどり着けるかもしれない領域になる。+20なんて普通の人ではとても踏み込めないレベル。
というわけで、トゥシスは同じガードユースでもゲンザール君やマーサさん、シュンタークス君よりも一段も二段も上の実力を持っている。
そうしたらトゥシスがどこまでやれるか見たいってケントール先生が突然言い出したんだよね。
そこまではいい。私もどれだけ強いか見たかったし。
ガードユースの能力を見るには実際に攻撃を受ける必要がある。
そしておあつらえ向きなことに、このクラスにはうっかり央国五剣に推薦されかけたおマヌケなブレイドユースがいるからってことで私に白羽の矢が立ってしまった。
言っておきますけど、その推薦はきっぱり断りましたからね?
剣だけで生きていくのが大変なのは知ってるし、私の目標はあくまでお給金がいい騎士になることなので! できれば方術が使えて副収入が得られるような!