親友の悩み1
文字数 1,081文字
少し遅くなっちゃったけど、今ぐらいの時間はイーサが方術を教えてくれることになっている。
だけどイーサは口を引き結んで椅子に座ったままだった。
私が戻ってきたのは気が付いていると思うんだけど、目を合わせてもくれない。
むしろ私のことを避けるように俯いていた。
そんなイーサに方術を教えて欲しいなんて言い出せるはずもなく、小さな声で日課をしてくると伝えて部屋を後にする。
なんだかイーサはひどく落ち込んでたみたいだった。
上級生の強さがショックを受けるぐらいすごかったのかな。
私が少しでも戦力になれていたらイーサがあんな顔をしないで済むのに……はぁ、情けない。
いつもの場所に行き、いつもの鍛錬をする。
動きはよくない。
剣を振る軌道はイメージと違うし、速度も力強さもない。
一通りを終えて大きく息を吐いた。
差し出されたタオルを受け取る。
一応とか余計なひと言はいらないですよ?
それから上級生とケインズ君たちとの練習試合の内容を改めて聞かせてもらった。
トゥシスは余計な感情や感想を交えずに、あの場であったことをありのまま話してくれた。
ハージェシカさんも言ってたけどケインズ君たちのチームは強い。
同門で訓練をしていた仲間でチームを組んでいるから連携力については4チームで一番なのは間違いない。それに戦術のバリエーションも豊富で思わぬ攻撃を仕掛けてくる。
意外性と堅実性が組み合わさった厄介なチームだと思う。
私たちとの練習試合でも前衛の三人を攻略してイーサに迫るなんてことは一度や二度ではないんだよね。
トゥシスがイーサを守っていなかったら負けていた試合はいくつもあったんだから決して弱いはずがない。