二人3
文字数 1,118文字
低い姿勢で近寄ってくるコートフロッグを次々に切り伏せる。
床石に剣先が触れて火花が散っているけど構わない。
この程度のものをいくら斬ってもザンヤの切れ味が落ちることはないんだから。
急いで大量のイーターマンチェラを食い止めているトゥシスの元へと走った。
いきなり上から圧し掛かられる感覚。
視界が不透明なものに包まれていた。
粘性の高い体をしているスライムには剣での攻撃はほとんど効果がない。
シュワシュワという嫌な音が耳に入る。
トゥシスがポケットから出した紙に炎の塊が生まれる。
それを私を包み込もうとするスライムに近づける。
私まで熱が伝わってくるけど我慢するしかない。
炎を嫌がったのか、スライムが私の体から離れていく。
上着?
見ると二つの控えめなものがまろび出ていた。
横を向くトゥシスの顔が赤くなってた。
グワンという大きな音が狭い通路に響く。
トゥシスの両足がわずかに地面にめり込む。
それだけの大撃だった。
見上げるほど巨大なアイアンゴーレムが再び戦斧を振り上げる。
私の身長では相手の頭を狙えない。
錆びた金属をこすり合わせたような耳障りな音が発せられる。
ゴーレムはバランスを崩し、上体が下がった。
しかもこの手のモンスターはブレイドとの相性がとても悪い。ザンヤをもってしても破壊するのは簡単じゃなかった。
でも打撃を与えるブロウなら話は別だ。鎧の上からでもダメージが通る。
だから私の役目はわずかな時間を稼ぐこと。
腰を落としたトゥシスが左の拳を放つ。
ドゴンという鈍い音。
見ればゴーレムの胸甲が大きく凹んでいた。
ビクンと一度大きく痙攣すると、ゆっくりと崩れ落ちる。
トゥシスの脚は床石を踏み抜いていた。