ex密会1-1
文字数 1,098文字
深夜、王立学院の一角。
かすかな月明りだけが届く人気のない場所に二つの影があった。
一人は男子の王立学院の制服を着ている。
手足が長く、背も高い。
前髪を降ろしているので表情はよくわからないが、口角は常に上がっているようだった。
もう一人は女子の制服を着ている。
背は高くもなく低くもない。
月の光を集めたような銀髪を結いあげており、うなじが露わになっていた。そこにはユースの証である武印が見える。
男は軽薄な笑いを口元に貼り付けている。だが顔の造形がよいために決して嫌味には見えない。
少女は男の顔を見なかったことにして話を続ける。
道中で入れ替わっていないのなら例の秘蔵っ子のブレイドかと。
入寮した面子を確認しましたから間違いはないと思います。
正直、アレが入学しなくて僕様はホッとしてますよ。噂通りなら正面からやり合うのはご免ですし。
少女の目が驚いたと言いたげに見開かれる。
かすかな月の光にアイスブルーの瞳が輝いた。
魔獣の危険度は下位、中位、上位、最上位に分けられる。
下位は腕が立つ者であれば単独でも討伐可能、中位はできればパーティーで戦うのを推奨、上位は優秀な複数のパーティー、最上位は国家が動くレベルと言われている。
男は少女の驚いた顔を愉快そうに眺めて楽しんだあと、ゆっくりと口を開く。