ダンジョン4
文字数 443文字
ガチリという機械的な音がした。
重厚な扉がゆっくりと左右に開いていく。
完全に開き切ったのを確認して、トゥシスが発光の方術がかけられた小さな棒を投げ入れる。
光が届く範囲にはなにもない。天井どころか壁の位置すらわからなかった。
扉を開けたら金銀財宝が並んでいると思っていたのに。
周囲を警戒しながら宝物庫に侵入する。
疑似生命体の気配は感知がしにくいので、どうしても歩みはゆっくりになる。
四人の足音だけが部屋に木霊する。
部屋は広大で先は見えない。
方術の光で見ることができる範囲はそれほど広くない。
その光もかすかに霞んでいるみたいだった。
地下の部屋なのに霧でも出ているのかな?
――霧が出ている!?