幻想蛇4
文字数 1,006文字
正面から踏み込むソウジュ。
やっぱりソウジュはすごい使い手だった。
腹側とはいえ硬い鱗をやすやすと切り裂いてみせる。
ソウジュの片刃の剣が振るわれるたびに血しぶきが舞った。
中でも一番はなんといっても突き技だ。
距離をとったかと思うと全身のバネを使って一気に突き込む。それこそ柄までめり込むような勢いだった。
私だって負けていない。
容赦なく鱗を剣で叩き割っていく。
ミラージュパイソンは私たちの攻撃で鱗を砕かれ、筋肉を切断され、お腹を切り裂かれていた。
大量の血液が地面を濡らして泥濘のようになっている。
ソウジュが叫びながら深々と刀を突き刺し、柄を回転させて抉る。
剣を引くと大量の血液が傷口から噴き出した。
フシュウゥゥ!
その時、ソウジュの取りついていた鱗の周辺から大量の霧が噴き出す。
ボクはこいつを倒して、お嬢を探しに行く!
ありがとう、サダーシュ! 君に会えてよかった! いつかまた剣を交えよう! ボクは運がいいんだ。必ず再会できるよ!
徐々に霧が晴れていく。
そこは私たちの馬車が進んでいた街道だった。
でもソウジュの姿はどこにもなかった。
馬車に揺られている。
なんだかとっても疲れていた。
おじさんの声もどことなく寂しそうだ。
ミラージュパイソンは瀕死だったから、ソウジュなら大丈夫だと思う。
問題は霧の方だ。下手をすると全然知らないところに移動している可能性だってある。
そうだ、私は初めての友達に会えたんだった。
だからね、ソウジュ。
絶対にまた会おうね!