出合い1
文字数 1,404文字
食事を終えてお風呂に入り、日課を済ませてからイーサに方術を教わった。
残念だけど今日も方術は使えなかった。
就寝時間までのわずかな時間、イーサは手紙を書くために机に向かっている。
郷里のご両親に近況を知らせるんだって。
イーサのご両親ってどんな人なんだろう?
いつか会ってみたいなぁ。
これまで足を引っ張ることしかできなかった私としては褒めてもらえるのはすごくうれしいんだけど、こうまで褒められ続けるのは気恥ずかしいと言いますかね。
本当はうれしいんだよ? もっと褒めてほめて!って思ってるし。
ベッドに横になりながらイーサを姿を見る。
体のラインが出ないふわりとした夜着に着替えているというのにも関わらず、二つの大きなものがしっかり自己主張をしていた。
しかも生地が薄手だから緩やかな曲面に沿って形がばっちりわかって……はぁ。神様はいつだって不公平だと思う。
格差社会はいち早く打倒されるべきなんじゃないかなぁ。
首にかけたままのアミュレットに触れる。
ちなみに両腕は腕輪を付けたまま。これは身に着け続けることで効果が蓄積するものなんだって。
お風呂に入る時はちゃんと洗ってるから衛生面についても大丈夫。
それからジュリウス先生のアドバイスに従って、枕元にはようやく戻ってきてくれた愛用の剣も置いてある。
さすがに剣を抱きしめて寝るつもりはないけど。
フィタっていうのはいろんな色の糸で編んだ紐のこと。鮮やかな文様を描いていてきれいなんだよね。
手首や足首にお願いごとしながら巻いておいて、紐が自然に切れたら願い事がかなうっていう女の子には定番のおまじない。それが左手に巻いてある。
この紐はイーサが自分で編んだもので、おまけに描かれた文様は方術印になっているっていう特別製なのです。
ああ、イーサの愛が重いわ……なんてね。
しかし手芸もできるなんてすごいなぁ。
ユースとしても方術師としても女の子としてもレベルが違う……うぅ、落ち込むからこのことはあんまり考えないようにしよう。
イーサが使っている発光の光が届かないように掛け布団を頭からかぶる。
試合で疲れたし、このまま眠気に誘われるまま夢の世界に旅立つことにしよう。