トリプルとアーツ2

文字数 1,031文字

あああああああああ! 

ちっくしょぉ――――!

はぅわ!?
あー、すまん。剣で負けるのはさすがに悔しくてな。

生徒の前で恥ずかしいところを見せた

いえ、その……すみません
そこで謝られると私の立場がない。

ザンヤを手にした貴様は以前とはまるで別人だ。立ち会った瞬間にこのままでは勝てないと悟ったぞ

 目の前に立つ先生が手を差し出した。

 ちょっと考えてから握手を求められていると理解して手を握る。

そうかもしれないですね。私もこんなに戦いやすいと思ったのは初めてです。

なんか全部見えるんですよ。まるで死角がないみたいに

 これまでも常に視界を意識した戦い方をしてきたつもりだけど、さっきは今までと明らかに違っていた。

 先生の動きも、イーサたちの様子も、訓練場の状況も全部見えていたんだから。

もともと貴様の反応はよかったが、たしかにあの動きは奇妙だったな。

まるでこちらの動きがすべてわかっているようだった

ザンヤが動き方を教えてくれたみたいです。

私はそれに従ってもいいし、自由に動いてもいいみたいで。力の加減も自由自在でしたし

世の中にはまだまだ上がいるな。

修行のし甲斐がある

 最後に笑って、先生は訓練場を後にした。
サダーシュ! 

すごかったですね

 駆け寄ってきたイーサに抱き着かれる。

 柔らかい体を抱きとめた。

本当に央国五剣に勝ってしまうだなんて
あー、そういえばそうだったね……
 ニシキーン先生がまたヘンなことを言いださないといいなぁ。
ちょっとちょっとサダーシュ! 

何があったのよ。

さっきの戦い方っておかしくなかった?

 ヘイズたちがやってくると、あっという間に囲まれてしまう。
斬撃を飛ばす方法にコツなどはあるんですか?
あのパワーはおかしいだろう。

何を食ったんだ? どんな筋トレをした?

間合いを詰める時の迷いのなさはどうすれば身に着けられるんですかね?
俺もあんな風に蹴られたい
 次々に質問を浴びせられて目が回りそう。
えっと、意識を先に持ってきて振り切ればいいよ。ご飯はなんでもおいしく食べてるけど特別な筋トレはしてないから。相手の動きを予測してパターンを解析しておけば迷いはなくなると思うよ。それで誰を蹴ればいいの!

 イーサを抱きながら右足を振り上げると、囲みの輪が一瞬で広がった。

 これでみんなも落ち着いてくれるかな。


 一歩進みでる影があった。

お前、アーツなのか
 トゥシスが怖い顔をして私を見ていた。
えっと……
練習を始める前に少し話をしましょうか
 イーサに促されてみんなが車座になって座る。
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登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

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