白い霧4
文字数 1,011文字
ミラージュパイソンの霧を剣で斬れる人が他にもいたなんて信じられない。
最小限の動きで相手の攻撃をいなす。
一撃一撃がすごく重い。
まるで大岩を投げつけられているみたいな衝撃がある。
斬り合っている最中に逃げ遅れたスピアードッグを片付けていく。
さっきの一匹でこの周辺にいるのは全部斬ったはず。
相手以上の踏み込みで前へ出て、すれ違いざまに剣の腹で横っ面を思い切りはたいてやった。
ガツンといい音と手ごたえがあった。
カウンター気味に入ったので三回転して地面にべしゃんと落ちる。
たぶん死んではないはず。
二人の剣風でこのあたりの霧はすっかり斬り払われていた。おかげで相手の姿も確認できる。
女の子は立ち上がって頭を下げる。
私も慌てて女の子に頭を下げた。
いや、そのセリフは全力であなたにお返ししますけどもっ。
不意に腰に結んであったロープがグイッと引かれた。