二人4

文字数 783文字

 転移した先からいくつ階段を上ったのかもう覚えていない。

 疲労がたまって今にも座り込みそうだけど、ぐっとこらえる。

どうやら戻ってこられたようだな

 階段を上がった先のフロアはこれまでと雰囲気が違っていた。

 繊細な装飾はなくなり、重厚さを感じさせる壁が続いている。


 ここまでくればダンジョンに入る前に見せてもらった地図があるから迷うことはないはずだった。

あとはイーサたちを探すだけだね
もう学院に戻っている可能性もあるがな
えー、イーサだったら私たちを探すの優先にすると思うよ

 希望が持てる会話。

 戦闘に続く戦闘で疲弊していた心が少しだけ軽くなったみたいだ。


 たくさんの魔獣と戦ってきて、この学院へ来て、アーツになって、ザンヤを手に入れて、私は強くなったと思っていた。

 でもそれは大きな勘違いだと思い知らされた。


 トゥシスがいなかったら私はこのダンジョンで死んでいたと思う。

 ダンジョンは私が暮らしていた魔獣の森とは全く違う戦い方が必要な場所だった。

あの……ありがとね
 今も先に立って警戒をしてくれているトゥシスの背中を見ながら呟く。
その言葉を受け取るのは無事にお嬢と合流してからだな
そうだね。

とりあえず宝物庫に戻る?

いや、真っ直ぐ地上に戻ろう

 てっきりイーサを探しに行くのを優先すると思ってたのに違うんだ。

 広がった空間に出たところでトゥシスの足が止まって振り返る。

俺たちが宝物庫に行って、また同じトラップにはまったらどうする。

それならまずは地上へ戻って他の先生たちに状況を報告する方が先だろ

うん、わかった。

じゃあ、まずは昇りの階段を――

 咄嗟にトゥシスの手を引いて抱き寄せる。
んな――!?
 ドドドという音と共に、さっきまでトゥシスの立っていた場所に不可視の攻撃がさく裂する。
なんだってこんなタイミングで出てくるのよ
 五本腕で八本脚姿の妖異が三体、私たちを取り囲んでいた。
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登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

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