二人4
文字数 783文字
転移した先からいくつ階段を上ったのかもう覚えていない。
疲労がたまって今にも座り込みそうだけど、ぐっとこらえる。
階段を上がった先のフロアはこれまでと雰囲気が違っていた。
繊細な装飾はなくなり、重厚さを感じさせる壁が続いている。
ここまでくればダンジョンに入る前に見せてもらった地図があるから迷うことはないはずだった。
希望が持てる会話。
戦闘に続く戦闘で疲弊していた心が少しだけ軽くなったみたいだ。
たくさんの魔獣と戦ってきて、この学院へ来て、アーツになって、ザンヤを手に入れて、私は強くなったと思っていた。
でもそれは大きな勘違いだと思い知らされた。
トゥシスがいなかったら私はこのダンジョンで死んでいたと思う。
ダンジョンは私が暮らしていた魔獣の森とは全く違う戦い方が必要な場所だった。
てっきりイーサを探しに行くのを優先すると思ってたのに違うんだ。
広がった空間に出たところでトゥシスの足が止まって振り返る。