教師陣2-3

文字数 968文字

それより二人とも聞かせてくれ。

本当に彼女は央国五剣に匹敵する実力者なのか?

 ニシキーンは自信ありげに、ケントールは悩みながらもやはり頷いた。
私が思うに、あいつはアーツじゃないか?

 自信ありげなニシキーンの言葉に二人は眉根を寄せる。


 アーツとは『武具の体現者』であり、『生きる芸術』だ。


 優れた武具は魂を持つ。そして特有の色を持っている。

 そうした武具の持つ魂の色と自分の魂の色がぴったり一致しており、心を重ねることができる者をアーツと呼ぶ。


 アーツは武具を自分に体内に取り込み、自由に出し入れできるようになるという。

 まさに武具と一心同体となるのだ。

アーツなら他の武具が全く使えないのも納得がいくだろう

 心を持つ武具と一心同体だからこそ、他の武具は扱えない。

 それは心通わせる武具が嫉妬するからとも言われている。

ちょっとお待ちなさい。

さすがにサダーシュちゃんがアーツだなんてそんなことは……ないわよね?

あったとしても私は一向に構わんぞ

そもそもアーツになる武具ってよほど曰くのあるものでしょ? 魔竜や魔神を倒したみたいな。

この剣もそれなりに年期は入ってるけど、そんな伝説は知らないわよ。

仮に伝説持ちとしてこの扱いはどうなのよ

 元の形がわからないぐらいに使い込まれている上に、今の状態も相当酷い。

 武具と一心同体となるアーツならば、このような使い方をするとはとても思えなかった。

それにアーツって武具と心を重ねて体内に取り込むことができるって話よね。それならどうしてここに剣があるのよ。

剣がここにある以上、サダーシュちゃんはこの剣のアーツではないってことになるでしょうに

 論理的帰結だった。
だからアーツなんてありえないわ。

実は妖人族でしたって言われた方がまだ納得いくわよ

それはないだろう
ないな
 二人は同様に否定する。
これはジンバルクが言っていたことなのだが――
 ジュリウスはサダーシュへの接し方で悩んでいたジンバルクを飲み屋に連れて行った時の話をする。
彼女には謎が多い。

例えば彼女が暮らしていたというディープティールの森の周辺には集落がないらしい。そこでどうやって生活していたのかが一つ目の謎だ

村がなくても生きていくぐらいなんとでもなるだろう。

冒険者のような者たちが拠点を持たないのは往々にある話だし、そういう野外生活をしていたんじゃないのか

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色