魔法使いからの誘い1
文字数 1,172文字
魔法とはどういうものなのか。そこから説明をしないといけませんね。
大前提として方術と魔法は違うものです。
方術があらかじめ決めておいた結果をこの世界の理に働きかけて具現化させる体系に対し、魔法は異なる世界から力を借りて奇跡を起こす力だからです
ご無体なことをあっさりと。
できる人って、できない人の気持ちがわからないよね。
方術は私が身に着けたいと思っているからいい。
そもそも一人前のユースになるために学院に入学したわけだし、卒業後に騎士になるには方術を使えた方が有利だから勉強だってします。
でも魔法はいらなくないですか?
炎や雷で直接相手を攻撃したり、敏捷性、筋力、防御力といった身体能力を向上させることができる分、剣の腕が互角なら方術を使えた方が強くなれますからね。
実際、この学院でそれぞれの属性の武具の扱い方を教えてくださる先生方は皆さん方術師としても優秀ですよ
2メートルぐらいの見上げるような体格で、いつも体をクネクネさせながら女の人みたいにしゃべるあのケントール先生だよ?
ヘイズとも意気投合したんだけど、あの先生ってキモいんだよ! 男女関係なくすぐにお尻触るし!
あんな人でも方術が使えるんだ……世の中って不公平だなぁ。
落ち着いて整理しよう。
騎士になるにはユースとしての実力はもとより方術の腕もあった方が有利になる。
ということは、私が騎士になるには方術が使えた方がいい。
うん、今までと状況は変わらないね。
森に来ていた冒険者にも強い人は何人もいたけど、ニシキーン先生はその中でも群を抜いて強いと思う。
ミラージュパイソンを倒す時にいっしょに戦ったソウジュも相当なものだったけど、底知れなさという意味ではニシキーン先生のがすごいかもしれない。
あの人が戦いで方術を組み合わせると本当にとんでもないですからね。
目にも止まらない速度で動くわ、大岩を砕くわ、炎で牽制するわ、相手を凍らせて動きを鈍らせるわ、目くらましやらステータス異常をぶつけてくるわ……ほんと央国五剣は伊達ではないですから
えっと、途中から剣と関係なくなってないですか?
でもさすがはニシキーン先生とも言えた。
ただそれって、やっぱり方術はすごい、使えた方がいいってことにならない?