授業:マジック2
文字数 944文字
今日は朝から調子がよくない。
昨夜のことを覚えてないし、朝も自分で起きれなかったし、朝ごはんもおかわりできなかったし、どことなく体が重いし、心の奥がザワザワしていて落ち着かない。
まるで遠いどこかから誰かに呼ばれているみたいだった。
訓練場からはドカーンっていう大きな音が聞こえてくる。
きっとマジックユースの誰かが使った方術だ。
マジックユースは普通の方術師よりも高い効果を引き出すことができる。
方術は方術印に記された結果が具現化するものだから、最初から威力の上限と下限は定められている。
その範囲で使用者のイメージによって結果が異なると考えればいい。
例えば発光の方術印に込められた明るさの上限が10で下限が5だとしたら、使用者はその間の結果をイメージしながら使うことになる。
いくら明るくしようと思っても10以上にはならないし、5以下にもならない。
これがマジックユースだとあっさりと上限を突破させられる。
50とか100なんて明るさにすることもできるし、逆に効果を弱めることだって可能だ。
ユースっていうのはやっぱり選ばれた存在だと思う。
だからといってジンバルク先生の勧めに従って魔法を習うのも違う気がするんだよね。なんだか逃げてる気がするし。
ああ、集中できてない。
こんな状態で方術が成功するはずがない。
もっとちゃんとしないと。
思わずため息が出る。
今日はやっぱりいつもと違う。ちっとも集中できない。
昨夜はなにがあったんだろう。
もしかしてお酒を飲んだから?
そっか、それだ。たしか二日酔いになると体調は悪くなる。きっとそれだ。
二日酔いはよくない。金輪際、お酒はやめよう。
あと、このブレスレットも謎なんだよね。
どこで手に入れたのかまったく記憶がない。
ちょっとおしゃれな感じがして嫌いじゃないんだけど。
誰かにもらったのかなぁ。覚えてないなぁ。
両腕を組んで頭をかしげていると、一人の男子がこちらへやってきた。