ダンジョン3

文字数 891文字

 ようやく宝物庫がある階層にまでたどり着いた。

 途中でいくつか戦闘があったけど、このメンバーだとあっけなくて語るべきことがない。


 冒険者をしていた学院長が特にすごくて、モンスターに直接ダメージ与える方術も、前衛である私やトゥシスへの補助方術も、欲しい時に欲しいところにくれた。

 まるで私たちは学院長の手足のように動いているんじゃないかと思っちゃうぐらいで、イーサの出番がなかったほどだ。

ほほほ。この程度は朝飯前ですよ

 そんなセリフまで出る始末。

 多彩な方術、冷静な戦闘指揮。使ってはいないけどブレイドだって相当なレベルにあるはずだ。

 学院長一人でイーサ、トゥシス、私の役割がこなせるんじゃないだろうか。


 ちなみにモンスターは方術で創られた疑似生命体ばかりだった。

 成長はしているけど長く封鎖されたダンジョンだから、普通の生命体はいないだろうっていうのが学院長の見解だ。

ちょっと待って

 私の声で一行の足が止まる。

 三層まで下りてからというものどうも落ち着かない。

…………
なにか聞こえる……
 他の三人に目立った反応はない。やっぱりこの声は私にしか聞こえていないんだ。
でもなんて言ってるかまでは……うーん、ダメ。わかんない
宝物庫はこの階層だからまっすぐに向かいましょう。

ただし気を付けるように。このフロアから先には強いモンスターがいたと記録に残っていますから

 実際、学院長の言っていた通りだった。

 これまでとは比べ物にならないほど強いモンスターが徘徊していた。

 時に強行突破し、時にやり過ごしながら私たちは足を進めていく。

あの扉の向こうが宝物庫のはずです

 ようやく目的の場所にたどり着いた。


 半円アーチの扉には派手な装飾はなく、そこにあるだけで侵入者を拒むような雰囲気がある。

 イーサが手を触れてなにかの方術を発動させた。

方術でロックがかけられてますね
任せておいて。

代々の学院長が持つ鍵があるから

 学院長が懐から取り出したのは手のひらサイズぐらいある大きな鍵だった。心なしか明滅していて生きているみたいだ。

 この鍵が方術具になっていて、適切なコマンドワードを唱えることで扉が開くんだって。

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登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

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