ダンジョン3
文字数 891文字
ようやく宝物庫がある階層にまでたどり着いた。
途中でいくつか戦闘があったけど、このメンバーだとあっけなくて語るべきことがない。
冒険者をしていた学院長が特にすごくて、モンスターに直接ダメージ与える方術も、前衛である私やトゥシスへの補助方術も、欲しい時に欲しいところにくれた。
まるで私たちは学院長の手足のように動いているんじゃないかと思っちゃうぐらいで、イーサの出番がなかったほどだ。
そんなセリフまで出る始末。
多彩な方術、冷静な戦闘指揮。使ってはいないけどブレイドだって相当なレベルにあるはずだ。
学院長一人でイーサ、トゥシス、私の役割がこなせるんじゃないだろうか。
ちなみにモンスターは方術で創られた疑似生命体ばかりだった。
成長はしているけど長く封鎖されたダンジョンだから、普通の生命体はいないだろうっていうのが学院長の見解だ。
私の声で一行の足が止まる。
三層まで下りてからというものどうも落ち着かない。
実際、学院長の言っていた通りだった。
これまでとは比べ物にならないほど強いモンスターが徘徊していた。
時に強行突破し、時にやり過ごしながら私たちは足を進めていく。
ようやく目的の場所にたどり着いた。
半円アーチの扉には派手な装飾はなく、そこにあるだけで侵入者を拒むような雰囲気がある。
イーサが手を触れてなにかの方術を発動させた。
学院長が懐から取り出したのは手のひらサイズぐらいある大きな鍵だった。心なしか明滅していて生きているみたいだ。
この鍵が方術具になっていて、適切なコマンドワードを唱えることで扉が開くんだって。