剣術の師匠4
文字数 1,407文字
例の声がまた聞こえたと学院長とジンバルク先生に相談することにした。
またフラフラ夜中に歩き回って妖異と遭遇するなんてご免だしね。
なにより学内で異変が起きるかもしれないわけで、先生に相談をするのは当然のことだ。
封印されていた武具庫は人の立ち入らない一階の奥まったところにある。
でも今回の声はもっと下の方から聞こえてきた気がした。
地面の下。その先には地下世界があるんだっけ。
私を呼んでいたのは誰なんだろう。
思案気な顔で学院長は手にしたスティックをクルクルと器用に回している。
右回転、左回転、小指と薬指から人差し指にかけて昇ってきたかと思うと、また降りていく。変幻自在の動きだ。
宝 物 庫 !
なんでだろう、そういう単語を聞くと胸がトキメクのは。
お宝という単語には誰しも弱いのかなぁ。
そうなんだ。
じゃあ、どんなものが保管されてるのかもわからないのかな。
ダ ン ジ ョ ン キ タ コ レ !
宝物庫と聞いてワクワクしていたんだけど、ダンジョンと聞いてさらに胸が高鳴る。
冒険者なんていう0か100かみたいな不安定な生活をしたいとは思ってない。
だけどダンジョンを走破して宝物を手に入れるというシチュエーションは誰しも憧れを持つと思う。
もちろん私だって持っている。
ズシャって音を立ててジンバルク先生が膝から崩れ落ちた。
なんだか嗚咽まで聞こえてくる気がするっていうか、肩が震えている。