教師陣1-3

文字数 972文字

それが記録に残っていないんです。ちなみに推薦者も不明です。行方もわかりません。

もう一つ気になることがありまして。

あの森の周辺では方術の効果が得られにくいという冒険者の報告が残っていました

魔の森の影響も考えられるな。

近くで生活していたから方術が使えない……ありえるか?

百年前の遠征で央国軍が大打撃を受けたぐらいだ。

何があっても不思議ではないだろうな

 ゴウロウンがその時代に生きていれば喜んで志願していただろう。

 生来、戦いが好きな男である。片目を失ったのも戦いの中でのことだった。

それより俺はこっちの噂のが気になっている。

その生徒がなんとかの剣士という話は本当か? 

ニシキーンのことだからいつもの法螺話だと思って聞き流したんだが……

ブルガの黒い狂戦士ですか? 

どうなんでしょう

 ジンバルクの反応にゴウロウンは鼻を鳴らした。
やはり法螺話か。噂話など当てにならんものだ。

本物なら手合わせしたかったがな

ブルガの黒い狂戦士は実在する。

事実、私の方術具はすべてその者が倒した魔獣から得られた素材で造ったものだ

 先ほどワインを水に変えた指輪もその一つだ。小さな指輪には浄水の他にいくつか日常生活で役立つ方術が組み込まれている。


 複数の方術を組み込んだ優れた方術具は、膨大な方術の知識と方術印の組み合わせを知っている者にしか作成できない。

 ジュリウスはそういった方術具製作者の中でも最上位に位置している。彼の作成した逸品を欲する者は多い。


 方術印と魔法の第一人者であるジンバルクと優れた方術具の製作者としても名を馳せるジュリウスは今代でも最高峰の方術師である。

 だからこそ彼らは方術が使えないサダーシュのことをわかれないでいる。

私は彼女を央国五剣に推薦すると言った話の方が気になる。

正直、それほどの存在なのか?

 ゴウロウンは呆れたよう口を開いた。
央国五剣はこの国どころか世界でもトップレベルの存在だぞ。

それはないだろう

まさか……アーツ?
馬鹿な。ありえん
 ジュリウスの呟きをゴウロウンは一笑に付す。
かつてアーツと呼ばれた名だたる英雄も、結局は特定の武具と極めて相性がよかっただけの話だろう。

そういうユースなら稀にいたっておかしくはない

 アーツとは『武具の体現者』であり、『生きる芸術』である。

 彼らはただ一つの武具に愛され、その武具と一体化できると言われている。

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登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

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