ex狂剣
文字数 1,821文字
レフターナとシンハースは道場時代を思い出して笑い合っている。
特に同じブレイドだったシンハースは一本の剣にこだわり続けるソウジュを何かと気にかけていたのだが、頑ななソウジュは一切耳を貸そうとはしなかった。
それでも同輩のことを思いやり、声をかけ続けたのは彼の人徳と言えるだろう。
あの子ってやけに運がいいんだけどさ。変な子なんだけど。普通さ、幻想蛇に襲われて迷ったら死ぬよ? 変だと思わない? 毎年、何人がそれで死んでると思ってるのよ。
それで生き延びたどころか倒しちゃうなんてさ。絶対にソウジュは変な子だよね
ヘイステイシアの変な子連呼に、ソウジュに会ったことのないハヤードは微妙な表情をしていた。
やはりトリプルともなると性格面でも歪んでいるのだろうか、と。
それならサダーシュはマシなのかもしれない、と。
ロウマインド流の門下生にとって、ゾウジュの後先顧みない暴走っぷりは見慣れた姿であった。
町でケンカがあれば首を突っ込み、近くに魔獣が出たと聞けば一も二もなく走り出し、道場では誰かれ構わず稽古と称して斬りかかる。
ロウマインド流の狂剣とはよく言ったものであった。
散々な言われようなのだが、彼らはみな笑っている。
決してのけ者にしていたわけではないのだ。
ソウジュの実力を理解し、その扱いにくさを知り、その上で仲間として共に過ごしてきたのだから。