入学前夜3
文字数 624文字
ビュ! ビュ!
剣が風を切る音がする。
しばらく無心で剣を振り続けた。
こっちに来る前は水で濡らしたタオルで体を拭くか、小川で水浴びをするしかなかったんだよね。
上着を脱いでタオルで汗を拭きとっていく。
タオルで胸元を隠し、剣を抜く。
まさかこんなところで覗きだなんて……警備はどうなってるのよ!
そう言いながら暗がりから姿を見せたのはトゥシスだった。
顔は横を向いている。
月明りでもトゥシスの顔が赤くなっているのがわかった。
……あれ? もしかして照れてる?
へー、ほー、ふーん。
トゥシスって意外に純情なんだ。
一応、背中を向けてから服を着た。
視線は感じないし、律儀に口にしたことを守っているみたい。