ex密会2
文字数 1,166文字
深夜、王立学院の一角。
かすかな月明りだけが届く人気のない場所に二つの影があった。
背筋が凍るような雰囲気がわずかながらに緩む。
だがいまだに氷柱を背中に押し当てられているかのような緊張感は残っていた。
振り返った少女は怪訝そうな顔をしている。
マルチユース――それもフォーユース以上の話があるというのだろうか。
現在の学院長であり、歴代学院長でも最も能力が高いと言われるカーモリアの方術師としての実力は超が付く一流である。
特に物見の儀については、この国でもトップクラスのジュリウス、ジンバルクですら彼女には及ばないという存在だ。
その彼女の物見の儀ですら正体が読み取れなかったというのは確かに興味深い。