幻想蛇3
文字数 971文字
……あれ? また霧が濃くなってきた。
シュルルルルルルルルル。
狭い場所を空気が吹き抜けるような、擦過音のようなものが上の方から聞こえてくる。
赤い光があったところを見る。
まだ爛々と輝いていた。
まるで私たちを観察するように。
シュルッ、シュルルルルルル!
二つの赤い光の間になにか長いものが見え隠れしている。
擦過音もそのあたりから発生しているようだった。
私たちを遥か頭上から見下ろしていたのは、この霧を作り出したミラージュパイソンだった。
巨大なヘビが呼吸をするたびに、一抱えはありそうな鱗の隙間から霧が溢れ出してさらに霧が濃くなる。
魔獣の危険度を表すのに使われるランクってかなり幅があるからあてにならないんだけどね。
ミラージュパイソンは発見の難しさのせいで上位危険種になってると思うし。
甲羅ほどではなくてもロックタートルの皮膚も硬い。生半な剣だと弾き返されるぐらいには。
少し距離を空けて超巨大なミラージュパイソンの前に立つ。
赤い瞳を睨みつけるにはかなり上を向かないといけない。