声4
文字数 1,256文字
私が王都へ向かうのは王立学院に入学するためだ。
学院を無事に卒業できれば一人前のユースとして認められる。
ユースなら就職先にも困らないし、お給料もいっぱいもらえるはず!
第一希望はやっぱり騎士だよね♪
王立学院を優秀な成績で卒業したら騎士への道が拓けるっていうし。
実は私にもそのアザがあった。
ユースっていうのは主に武具との相性がよい人のこと。
いくつか種類があるんだけど、適した武具を使うと戦闘能力が大幅にアップする。
例えばヒノキの棒を特性のあるユースが使うとヒノキの棒+10とかになる。相性が特によければ+20にもなったりするんだからすごいよね。
普通の人が血のにじむような努力を何年も続けて+1の実力をつける一方で、ユースは最初から大幅な+補正が付いているって感じかな。おまけに成長の速度も速いんだって。
央国ではユースを集めて教育する方針をとっている。それが王都にある王立学院だ。
授業料は基本無料。しかも三食寝床付き!
この話に一もにもなく私は飛びついた。
一応、王立学院以外でもユース用の教育機関はあるんだけど、そっちは有料なんだよね。
もっとも学院へ行かないで手っ取り早く冒険者として名を売ろうっていう人もいる。
戦闘能力に優れるユースは冒険者にぴったりだという話もあるぐらいだしね。
私は辺境の森で狩りをして生活していた。
そんな私にユースの力があると知った行商のおじさんが王立学院へ進学することをすすめてくれたんだよね。
正直、最初は悩んだ。王都でやっていけるかわからなかったし。
でも学院を優秀な成績で卒業できれば騎士として採用されるかもしれないと聞いて決心した。
時代は騎士だよね! 安定収入! これ大事!
私はブレイドというユースだ。
ブレイドは刃のある武具と相性のいい人のこと。
普通のブレイドはどんな剣でも使いこなすらしいけど、私は昔から使っている剣以外はさっぱりなんだよね。そこがちょっと不安。
腰に差している愛用の剣は何度も砥がれて小剣ぐらいの大きさしかない。
でもこの剣ならどんな魔物や魔獣だって倒すことができた。こう見えて私って結構強いらしいよ?
腰に差した剣をすらりと抜き放つ。
この感覚は間違いないと思う。
もう少しで王都だっていうのに、本当についてないんだから!