練習試合3

文字数 904文字

 それからはチームでの戦い方に時間を費やしていった。

 本番は今月末。対抗戦本番まであと3週間もない。


 結局、4チームが結成された。

 どのチームも五つの属性が一人いる構成だ。バランスとしては同等。でもマルチユースを三人も擁する私たちが一番だろうと目されている。


 チームが結成されてからは五種類の武具の授業以外にチーム戦での練習試合をやるようになった。

 そうしてチームとしての戦い方を学んでいくってわけ。

サダーシュ、出るのが遅い! 

足並みを揃えようなんてことをお前には求めていない! 走れ!

 トゥシスの罵声が私の背中に浴びせられる。
前に出て
 端的なハージェシカさんの指示を受けて一気に駆ける。
頭下げてろよ!
 距離を取っているハヤード君の声に上体をぐっと下げた。
――あっ
 さすがにその姿勢だと上手く走れない。足がもつれた。

あの、馬鹿! 

ハージェシカ、フォロー! ハヤード、敵前衛に牽制

 べしゃっと顔から地面に突っ込んだ。
いたい……
立って

 私の前にハージェシカさんの体が滑り込んでくる。

 両手に持った棒状の硬鞭を構え、相手の攻撃を受け流してくれる。

方術が来るぞ!

 私が倒れている場所を中心に円形の陣が構築されていく。

 パーンという音と同時に光が散る。

 イーサが構築してくれた防御陣に相手の方術による攻撃が命中していた。

……

 な、なに?

 なんでこんなタイミングでヘンな声が聞こえてくるのよ。

…………

 まさかこれってイーサの方術なの?

 そう思って振り返るけどイーサにそんな様子は見られない。

どうした?
 前に立つハージェシカさんの苛立った声に慌てて答える。
もう大丈夫。

いけるよ

だったら走れ

 ハージェシカさんの背中から飛び出して、敵の王を目がけて走る。

 体が重い。慣れない剣だから思うように動けない。

 私の進む先に次々とハヤード君の矢が飛んでいく。

いける!

 相手チームの王はツグース君だ。

 護衛のシュンタークス君はハージェシカさんの牽制で離れている。

 これなら倒せる!

アホウ! 

そんなバレバレの罠に真っ向から突っ込む奴があるか!

――え?
 振り返ろうと思った瞬間、足元の空間がなくなった。
あ……
 そのまま落とし穴に落っこちた。
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登場人物紹介

サダーシュ=シュラインベース

本作の主人公。ブレイドユースなのだが愛用の使い古しの剣でしかその実力を発揮できないでいる。ただしその剣で戦う時は誰よりも強い。


イーサティア=ニアステリア

王都で困っていたサダーシュを助けてくれた女性。サダーシュと同じく学院に所属する。

ブレイド、ブロウ、スラスト、マジックの4つのユースを持つフォーユース。

トゥシス=アズウェイ

イーサと一緒にいた美男子。サダーシュに対してどこかトゲトゲしい感じがある。

ブロウとガードのダブルを持つ。

カーモリア=アナディール

王立学院の学院長。

ニシキーン=ネオビューズ

学院でブレイドの師範をしている。

央国五剣の一人。

ケントール=フィルマウス

学院でガードの師範をしている。

男子に対して特殊な趣味を持っているもよう。

ジュリウス=リベスパーン

学院でマジックの師範をしている。

方術具の制作者としても著名。

ゴウローン=フラマウンス

学院でブロウの師範をしている。隻眼。

シンゴラス=リースバリー

学院でスラストの師範をしている。

ジンバルク=アプキャッスル

サダーシュたちの担任でありマジックユース。

方術よりも古の神秘である魔法に傾倒している。

ハージェシカ=イーツテリア

学院生徒の一人。女性だがしゃべり方がそっけない。

ブレイドとブロウのダブルユース。

ハヤード=アンウィスト

学院生徒の一人。

スラストのユースで弓を得意とする。

ケインズ=サウスマウンズ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

マジックのユース。

ゲンザール=スプラウェル

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ガードのユース。かなり年配。

シンハース=ロンストア

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブレイドのユース。

ヘイステイシア=ウィスホール

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

ブロウのユース。


レフターナ=フィルパディ

学院生徒の一人。ロウマインド流の門下生。

スラストのユース。

汎用男性1

汎用男性2

汎用男性3

汎用女性1


汎用女性2

汎用女性3

モンスター

描写に合わせて適宜ご想像ください。

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