二人1
文字数 898文字
珍しいことにトゥシスが混乱していた。
いつも冷静なのに、イーサのことになるとすぐこうなるんだから。
ミラージュパイソンは学院に来る途中の街道でも遭遇した上位危険種の厄介な魔獣だ。
ダンジョンにいるなんてちょっと予想外。
もしかすると、この部屋はどこかで外と繋がっていたのかもしれない。
そこからミラージュパイソンが入り込んできたのなら辻褄は合うと思う。
ミラージュパイソンの厄介なところはこの霧だ。
霧に巻き込まれて迷うと違う霧の場所に強制移動させられる。イーサたちがここにいないのはそのせいだ。
どうやら私たちが別の場所に転移させられたみたいだ。
ここがとんでもないところじゃないといいんだけど。
ロープでお互いの体を繋いだのを確認する。
これで少なくともトゥシスとは離れ離れにならないはず。
冷静さを取り戻したトゥシスが左腕に装備した長手甲を構える。
私も体からザンヤを抜いていた。
視界はほとんど効いてない。かろうじて互いの表情がわかるくらいだ。
闇雲に動いてもイーサたちと合流できる可能性は限りなくゼロに近い。
なにより自分たちがいる場所がどこなのかすらわかっていないんだし、動き回るのは得策じゃないと思う。