二人2
文字数 1,054文字
雨風をしのぐためにダンジョンに住み着く魔物や魔獣もいる。
でもこのダンジョンは長く入口が閉ざされていたせいでその手のモンスターは生息していないだろうというのがみんなの一致した見解だった。
だとするとまったくの無駄足なわけだから、そんなオチじゃないといいんだけど。
どれぐらいそうしていたんだろう。
霧に包まれていると時間感覚が失われてしまうのでよくわからない。
ようやく霧が晴れて周囲を確認できるようになった。
精緻な文様が描かれた高い石の壁が美しいアーチを描いているのが判別できる。
だから身代金とか要求されても出せません。
私の体は……ステータスと希少価値はあるはず、うん。
言われてみればそうだった。
つまり私個人に誘拐する価値があるってこと?
うーん、それはどうかなぁ。
私なんかよりイーサの方が可愛くて有能でいいところのお嬢様だからずっと狙い目な気がするけど。
あとはウソかホントかヘイズが某国の血筋だそうだから、そっちのが狙う意味があるんじゃない?
トゥシスの提案に私は頷いた。
どの道、ダンジョンにいるのなら上層に向かわないと外に出られないしね。