アーツ1
文字数 1,167文字
優等生であるイーサは緊急事態であったにも関わらずとても冷静だった。
私が部屋からいなくなったことをすみやかに先生たちに連絡し、協力して捜索にあたってくれた。
私の位置は探知の方術で追うことができた。
でも途切れてしまったので、途中から手分けをすることになったんだって。
そして真っ先にここへたどり着いたのがイーサだった。
オルーナ、アーガスロン、ヨーツン……名だたる名刀の最後をこの目で見ることになるとはな。
ルーソーはもともと柄を外して保管してあったから問題なさそうだ。こいつの保管の厄介さが幸いしたか。
ガンディーヴァも弦を張れば使えそうだな
激しい戦闘の影響で棚はひっくり返り、並べられていたさまざまな武具は床に散らばっている。
刃こぼれ程度ならまだいい。いくつかは致命的な損傷を負っていた。
わ、悪いのはこの化け物です。私は自衛に専念しただけですから……で納得してもらえるかなぁ。
ジュリウス先生、ジンバルク先生もほどなく駆け付けてくれた。
二人は私が倒した化け物を興味深そうに検分している。
ジンバルク先生が斬り落とされた脚に触れようと手を伸ばすと、サラサラと砂のようになって形が崩れていった。
それは腕や上半身も同じで、武具庫の床には大量の砂のようなものが残るだけになっている。
知らないので首を横に振る。
へー、知らなかった。
じゃあ、地面を掘ったらあっちの世界に行けるのかな?