白い霧2
文字数 1,235文字
霧に引き寄せられる魔物とかが面倒なんだよね。
魔物に襲われて逃げ惑っているうちにとんでもない場所まで移動させられるか、戦おうとして霧に飲まれて散り散りになって結局やられるってパターンがすごく多い。
ちなみに、とんでもない移動先の最たる例がミラージュパイソンの目の前ね。
意志を持つ霧に誘導されてそこまで勝手に足が向かってしまうからだって言われているけど、本当のところはわからない。
私がおじさんを守るから不用意に馬車を動かさないでください。このロープでつながっている限りは絶対にはぐれたりしませんから大丈夫。
逆に言うと、このロープがなくなって離れ離れになったらヤバいです。私は無事でも、おじさんとこのお馬さんは死んじゃうと思います
落ち着いてもらうため冷静に事実を告げておく。
こういう時はパニックなったら終わりだからね。冷静でいられれば生き残る確率がそれだけ高くなるから。
注意を促してくれているのはよくわかるんだけど、なんていうか、サダーシュちゃんは昔からそういうところがちょっと残念な子なんだよねえ
グサッ。
ざ、残念な子って言われた……気を使ったつもりだったのに……。
ハッ、ハッ、ハッ、ハハッ……。
荒い息が私たちを取り囲むように移動している。どうやらこちらとの距離を詰めるつもりみたいだ。
気配の数は14。
いつもの私なら問題ない数だけど、今はおじさんを守らないといけないから慎重に事を運ぶ必要がある。
それにロープのせいで行動の自由が利かないのも注意しないと。いつものように動いていたら思わぬところで失敗するかもしれないのを頭に入れておく。
私が魔物を引きつけますから、おじさんは動かずに静かにしていてくださいね。危ないと思ったらロープを引いて私を呼んでください。
今の私にとって、ここが帰ってくる場所ですから。帰る場所なくなってたら泣きますからね
本当におじさんはいい人だなぁ。
おじさんがここで待っていてくれるなら、私はきっと帰ってこられる。
ぐっと腕を曲げて力こぶで女子力をアピール。
……ぷにっとしてて、あんまり盛り上がってないけど。
うん。私のおっぱいよりは小さかったかもね!