Ⅱ. whereabouts of blood ♯10

文字数 342文字

 続けて浅桜くんのアカウントを呼び出して、悲しいメッセージを送る。

『ごめんなさい。急に体調が悪くなって、今日行けそうにないです。せっかくクリスマスに予定空けてくれたのに、本当にごめんなさい』

 ずっと楽しみにしてたのに、残念過ぎて涙も出ない。

 無心で天井を見つめていると、スマホがピコンっと鳴った。

『わかった。気にしなくていいよ。まだ家も出てないし』

 続けてピコン。

『ゆっくり休んで、また今度改めて出かけよう』

 浅桜くんの優しさが、恐怖で固まった心と体を少しだけ和らげてくれる。

 今日観に行く予定だった映画は十二月いっぱいで上映が終わる。

 浅桜くんの家はお店を経営していて、冬休みはその手伝いが忙しいらしく、あまり自由な時間は無いと言っていた。

 なので年内は、次の約束もできそうにない。

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