Ⅷ. Final truth ♯30

文字数 681文字


「お母さん、急にどうしたのかな?」

「わからないけど、多分ルカのことを気にしてるんじゃないかな」

「どうしてそう思うの?」

「夕食のときにも思ってたんだ。多分お母さんはルカの正体に見当がついてるんだよ。ルカの出身地とお母さんのルーマニアへの想いが偶然重なるなんて、どう考えても不自然だ」

 もし本当にそうだとしたら、ルカさんはお母さんと接点があるとも考えられる。もちろんなにが正しいのかはわからないけれど。

「だけど、あの様子だと直接聞くわけにはいかないね」

「なにか言えない理由があるのかな?」

「それは今俺達が考えてもわからないだろうな。それよりまさか泊まることになるなんて思わなかったよ。まあ夜中に抜け出すよりかは都合がいいけど」

「ごめんね、親とか大丈夫?」

「週末だし、連絡さえ入れておけばなにも言われないさ」

 優陽は頻繁に朝帰りとかしてるのかな? わたしは週末でも朝まで遊んだことなんてないけれど。でも、瑞花の家に泊まりにいく事はあるし、もしかしたら優陽にもそういう相手がいるのかもしれない。

「それならいいけど、でも心配だからあんまり朝帰りはやめてね。もしするなら事前に教えてほしいな」

 あ、このやりとり、恋人っぽい。

「わかったよ。といっても従兄弟の家に泊まりに行くだけだって。だけど、これからはちゃんと緋莉に伝えるよ」

 くすりと微笑む優陽を見て、あぁ、好きだなって思う。これからルカさんと対峙するかもしれないという不安が、優しく流されていくようだ。この人とならきっと大丈夫。どんな真実が待っていたとしても、きっと受け入れて、乗り越えられる。そんなふうに思えて心強い。

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