Ⅳ. a snowy day ♯32

文字数 367文字

 それからキッチンに戻り料理を完成させると、テレビをつけてお母さんと食卓を囲んだ。

 蓮崎くんのメッセの件は、お母さんからルカさんを疑うようなことを言われなかったおかげなのか、不安は少し薄れている。

 きっとわたしを怖がらせて気を引こうとしているのだろうと、少し傲慢な解釈で片付けておいた。

 お母さんはグラスをふたつ用意して、お父さんと出会った年の物だというビンテージワインを開けていた。

 ラベルには千九百九十九と数字で記載されている。

 そしてこの日は、珍しくお父さんとの思い出話を聞かせてくれた。

 出会った日付は八月十八日。

 グランドクロスという、太陽系の惑星が地球を中心に巨大な十字を描く珍しい天体現象が起きた日だったらしい。

 元々体の弱かったお父さんがなにかの発作を起こしているところに出くわして、お母さんから声を掛けたのだという。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み