Ⅰ. in the darkness ♯4

文字数 427文字

 得意の妄想で少しだけ心がほっこりしたところで、駅前のクリスマスツリーの前で足を止め、スマホを取り出しSNSを開いた。

 画面の中はクリスマスを賑やかに過ごしている投稿だらけだ。

 ただ繋がっているだけで友達かどうかもよくわからない人達。知らない笑顔が溢れている。

 よくこんなの載せられるなあ、と感心する。わたしには到底真似できない。

 加工して誰かもわからなくなるなんて嫌だし、かといって加工しないで載せるのも、それはそれで死にたくなるに違いない。

 わたしの顔はなんとなく日本人離れしている気がしていて、子どもの頃は外人みたいだと揶揄(からか)われたこともある。

 そしてそれがコンプレックスだったりもする。

 結果SNSに顔写真は載せない方向で落ち着いている。たとえメイクをしたとしても、自分の顔を世界に晒すなんてできない。

 SNSの投稿用にクリスマスツリーを撮って、肩まで伸びた生まれつきグレーがかった髪をマフラーで包み直すと、カップルだらけの駅前を足早に通り過ぎた。

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